Pokemon TCG Pocket(ポケポケ)

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、17日目の記事です。

はじめに

 どうも皆さんこんにちは。Mです。皆さんはPokemon TCG Pocket(以下ポケポケ)を御存じでしょうか?ちょうどこの記事が投稿される日が新弾の発売日ということで、この記事ではポケポケの対戦、および第一弾「最強の遺伝子」のカードに対する私見を述べます。あくまで一個人の意見として受け止めていただけると幸いです。また、批判的な意見が数多く述べられていますが、筆者には誹謗中傷の意図がないと理解していただきたく存じます。

概要

 このゲームは大人気TCGポケモンカードのデジタル移植版のような立ち位置です。ただし、いくつか違う点があります。カードプール以外にも、デッキ枚数は20枚と60枚、エネルギーカードの有無、勝利条件がサイドとポイントなど数多くの相違点が存在しています。

 このゲームは毎ターン(先行1ターン目を除く)エネルギーゾーンから1つエネルギーを取り出して任意の自分のポケモンに付与ができます。そのエネルギーを使ってポケモンの技を使用することができ、相手のポケモンを倒し先に3ポイントとった方が勝利するというシステムになっています。

対戦の特徴(というより不満)

 このカードゲームの対戦はほかのデジタルカードゲームと比べても特異な点が多いです。このゲームは主にこれまでカードゲームをやってこなかったライトな層に向けて売り出しており、それがカードコレクションというコンセプトとかみ合って大流行したものだと思われます。しかし、それがゆえに普段カードゲームをやりこんでる人たちの中ではこのゲームの評価は賛否両論です。その理由をここで軽く触れられたらと思います。

 

 まず、一つ目の問題点としては、デッキの自由度が低いということです。これは単にカードプールが狭いことだけが問題なのではなく、TCG版ポケモンカードとのエネルギーのシステムの違いにも問題があります。例えば、使うエネルギーが2色以上のデッキを制作するときに、それぞれの色によって使いたいエネルギーの頻度が違うことが多いと思います。そのため、TCG版ポケモンカードではエネルギーカードの採用枚数を調整することで、デッキとしてうまく回るようにすることができます。それに対して、このゲームでは複数種類のエネルギーが出現するように選択をすると、エネルギーの出現は抽選で選ばれることになってしまうため、安定して戦うことが難しくなっています。そのため、混色デッキは避けられることが多く、その結果、デッキの多様性の否定というように受け取られることもあります。もちろん、エネルギーカードがないことで、初心者がとっつきやすくなっているとは思うので、このゲームのコンセプトとはマッチしているとは思うのですが、今回はあくまでもカードゲームを普段からめちゃくちゃやりこんでる人からの意見、という形なのでこちらを上げさせてもらいました。

 

 2つ目の問題点としては、圧倒的後攻有利です。現状、先行1ターン目はエネルギーをポケモンにつけることができないため、後攻が対戦相手よりも先に動きやすく、さらに、3ポイント先取というかなり早いゲーム展開も相まって、先手が後手をまくることが、かなり難しい状況になっているというのが現状です。ただ、個人的な意見としては、どのカードゲームにも先手後手の格差っていうものは存在していて、今後実装されるカード次第でそこはうまく調整できるのではないかと思っているので、そんなに問題視していないです(現状でもカスミを使ったら、運要素も絡みますが、先手が後手をまくる展開をすることは全然可能であることからもわかると思います)。

 

 3つ目の問題点としては、(個人的にはこれが一番だと思うのですが)練度の差で勝てるようになる試合が少な過ぎるということです。たいていの人は自分が上達すると喜びを感じると思うのですが、このゲームに関してはあまりプレイに関しての深堀ができず、それがゆえに成長を実感できないというのが現状です。そうなってしまうと勝っても負けても運のせい、つまり運ゲーであると感じられてしまい、あまり対戦を楽しく感じない、という人が多いのではないでしょうか。そのうえ、このゲームは、最初に述べた通り、デッキの多様性を否定しているため、「僕が考えた最強のデッキ」というものも構築が難しいです。そのため、ネットで調べたら出てくる大会で活躍したデッキをそのままのリストで使い、虚無を感じる人が大量発生し、否定的な意見がうまれる要因となっていると思います。そもそもこのゲームは逆転できる要素も少ないため、単調なゲーム展開が続くことも多いと思います。さらにランクシステムや勝率を表示するシステムもないため、イベントの時以外は対戦で得られる報酬もほとんどなく、それが一層虚無の要因となっていると思います。

終わりに

長々といろいろ書いてきましたが、先に述べた問題点というものは主にカードゲームをやりこんでいる人たちから出るものであり、普段カードゲームをあまりやらないライト層をポケモンという看板を立てることで、カードゲームをやらせるという戦略からすると、むしろ模範的な戦略とさえとらえられるもので、とても素晴らしいものだと思います。繰り返しますが、筆者には誹謗中傷の意は一切なく、むしろ、大衆に受け入れられ、流行するようなカードゲームのシステムを作っていただけたことについて感謝と尊敬の気持ちでいっぱいです。これからも、カードゲーム文化がさらに発展し、多くの人に愛され続けることを願ってやみません。そして、そういったゲームを通して、さまざまな人々が交流し、新たな発見や喜びを感じられることを期待しています。

おまけ

ここからは第一弾「最強の遺伝子」のそれぞれのカードに対する私見を述べます。あくまで一個人の意見として受け止めていただけると幸いです。

フシギバナ(ex)、フシギソウ、フシギダネ:2進化ポケモンということで安定性に欠けていましたが、一度フシギバナが場に出てしまうとエリカ(まれにバタフリーも一緒)で回復することで、なかなか体力を削ることができず、一撃で削りきることができるリザードン以外のデッキに対してはかなり強い圧をかけられていたと思います。

バタフリー、トランセル、キャタピー:まれにフシギバナデッキに採用されていた印象です。キャタピーの「仲間を呼ぶ」を使うことで一見フシギバナの着地に貢献できそうですが、自分の進化後を採用してしまうと不純物が増え、うまく回らない展開が多かったように思われます。そのため、キャタピーのみの採用も見られました。

モルフォン、コンパン:進化後にマタドガスと同じような動き(ただしキョウなし)ができます。どうしても緑単色でデッキを組みたいときにはぎりぎり採用圏内…?だとおもいます。

ウツボット、ウツドン、マダツボミ:ウツボットが唯一無二の性能ではあったのですが、2進化という事故の起こりやすさと、自身で火力が出ないということがネックで、採用されることはほとんどありませんでした。

ナッシー(ex)、タマタマ:1エネで平均60ダメージという高水準の数値を出しつつミュウツーexのサイコドライブの150ダメージを1度耐えることができるというかなり高水準のスタッツで、しばしば採用されていたイメージです。ただ、ほかに相性がいいカードが少なく、環境での活躍は難しかったです。

ドレディア、チュリネ:フシギバナexと一緒に採用されて、序盤の火力兼エネルギーブーストとして使われていました。ソロプレイ用のイベントの際には、フシギバナexとドレディアを組み合わせたデッキとして最上級の敵となったこともありました。しかし、前述の通り、そのデッキはいまいち安定性に欠けていたため、環境での活躍はあまり見られませんでした。

リザードン(ex)、リザード、ヒトカゲ:フシギバナと同じく、場に出たら勝ち切れる試合が多かったですが、2進化ポケモンであることから、安定性に難がありました。しかし、こちらはファイヤーexという組み合わせやすいカードがあり、環境初期に好んで使われていました。それどころか、ウィンディexというサブアタッカーを採用することで、安定感を得、環境である程度の活躍したデッキの一つであったと思います。

ファイヤー(ex):リザードンデッキの動力源でした。3エネ70ダメージは一見低く見えますが、れっかのまいでエネルギーを自軍にばらまけることも相まって、そこそこ使われていました。

ウィンディ(ex)、ガーディ:主にリザードンexと一緒のデッキに入って活躍していました。3エネ120ダメージはファイヤーexのおかげもあって、見た目以上に容易に火力を出すことができました。また、まれに後述するカツラデッキに採用されることがありました。

キュウコン、ロコン:カツラというサポートカードと合わせてカツラデッキとしてしばしば対戦したデッキタイプです。序盤から高火力で押し切ろうという戦術をとっていましたが、ピカチュウデッキでいい状況が多く、あまり採用されていませんでした。

ギャロップ、ポニータ、ブーバー:同上

マルヤクデ、ヤクデ:たまにリザードンの代わりに使っている人がいた気がします。火力は少し落ちる代わりに、1進化であることでより安定して戦えました。ファイヤーのれっかのまいで想像以上に使いやすかった印象です。

カメックス(ex)、カメール、ゼニガメ:ほかの2進化exと比べると一度場に出た時の絶望感は残念ながら負けてしまうと思います。そもそもこのポケモンは水属性で見ても2進化exで見ても環境最前線で戦っている奴らがいるせいでかすんでしまいました。

ゴルダック、コダック:コダックのサポート封じからの最低限の火力を出せるゴルダックという連携はなかなか強かったです。そのため、ラプラスexデッキに採用する人が一定数いました。しかし、カメックス同様、競合相手があまりにも悪いのであまり環境での活躍はありませんでした。

ドククラゲ、メノクラゲ:初期の環境では、その手軽さと安さから使われていることがまあまあありました。しかし、時間がたつにつれて、みんながひかりものを獲得し、採用も減っていきました。

スターミー(ex)、ヒトデマン:強い。その一言に尽きます。すべて強い。体力も130あるし、火力も90あるし、逃げエネ0だし。なんなんでしょうね、こいつ。まあただ、一つ弱点を上げるとするなれば、フリーザーexと一緒にデッキを組む、ってなったときにカスミの運要素で負け得ることぐらいですかねぇ?単体スペックはバケモノという言葉すら生ぬるいです。

フリーザー(ex):元祖運ゲー。使う人、使われる人はみんな思う。「勝っても負けてもカスミのせい」

ゲッコウガ、ゲコガシラ、ケロマツ:ラプラスexのデッキなどに採用されていた印象です。自由に20ダメージ与えることができる特異性から、火力が足りなくなりがちなラプラスexに多く採用されていました。

ラプラス(ex):無料で入手できたこともあって多くの人が使ってた印象です。よくフリーザーデッキの下位互換だといわれますが、ゲッコウガを駆使することで、フリーザーにはできない器用な戦いもたまにできます。

ライチュウ、ピカチュウ(ex):ピカチュウexはほんとに強かったです。アグロで攻めきれることが多く、そうでなくても、エネルギーの要求数が少ないため、前で毎ターン90出しながら裏でライチュウ、2体目のピカチュウex、サンダーexなどにエネルギーをつけることで、間髪入れずに火力を出し続けるということが可能でした。

レアコイル、コイル:ライチュウにマチスでエネルギーを供給するように採用されることがたまにありました。

マルマイン、ビリリダマ:逃げエネが0かつ火力もある程度出せるということで、ピカチュウexデッキに採用されることが多々ありました。

ゼブライカ、シママ:相手のベンチに逃げた瀕死のポケモンにとどめを刺せることがピカチュウとかみ合ってマルマインとどちらかが採用されるていました。

エレザード、エリキテル:まれに上の二つの採用候補を押しのけて純粋な火力枠として使用されました。

エレブー、バチンウニ:ピカチュウexデッキに火力枠としてピン刺しされることが多かったです。

サンダー(ex):ピカチュウデッキに採用されていました。火力をある程度出せて、なおかつ逃げエネが1であることから器用な立ち回りを可能にしていることが多かったです。

ゲンガー(ex)、ゴースト、ゴース:比較対象が最強格のミュウツーやリザードンであったため、カメックス同様採用されることがとても少なかったです。

スリーパー、スリープ:特性で眠りにすることができるため、たまに採用されては運ゲーを繰り広げていました。使いたいのは特性であるため、色で縛られない、ということは長所であったと思います。

ルージュラ:ミュウツーやリザードンに対するメタカードとして採用されることがまれにありました。ただ、実際は、2エネルギーつける先としてはミュウツーのほうが優秀であったため、実はそんなに活躍してなかったりします。

ミュウツー(ex):なぜかexが付いていないほうも併せて3枚採用されていました。強かったです。本当に強かったです。種でここまで火力が出せるのは唯一で、最強、という名を冠するにふさわしいと思います。勝つことが重要視されるようなイベントでは、ほとんどの人がミュウツーサーナイトおよびピカチュウそしてそれらのデッキに対するメタを使っていました。ほかにも、環境終期での大会で一番活躍したのはミュウツーデッキでした。

サーナイト、キルリア、ラルトス:最強の片割れ。2進化であることが玉に瑕ですが、そんなことを気にしなくてよいほど、場に出てしまった時の絶望感がすごい。3ターン目に出されようものなら、投了待ったなし、別にあとから出てきても十分強いという性能で、本当にやばかったです。

サンドパン、サンド:癖のないカードで、格闘タイプのデッキで組まれたアグロにはしばしば採用されていました。しかし、マンキーのプロモが出てからはその枠を奪われることが多かったです。

オコリザル、マンキー:サンドパンとは打って変わって癖の強いカードで採用には賛否があり、採用するかはその人次第、という感じでしたが、マンキーのプロモが出てからは、自傷することが可能になったため、安定して火力を出せるようになっり、サンドパンよりも優先して採用されることが多かったです。)

カイリキー(ex)、ゴーリキー、ワンリキー:脳筋です。シンプルイズベストみたいな性能でした。このカードの特徴としては、進化前からある程度の火力を出せるため、安定しやすいという感じです…が、正直あんま強くないです。2進化火力系のカードはリザードンとの比較が本当にネックで、あのデッキは出たらワンパンで、出るまでの足回りも強いという感じなので、高い評価を受けづらいです。

ゴローニャ、ゴローン、イシツブテ:個人的に好きだったカード。タケシで安定したエネ加速ができるだけでなく、体力が160あるため、先に殴ってきたミュウツーに1-2交換をしかけられたりして、なかなか楽しいカードでした。ただし、やっぱり不安定…。あんま強くなかったです。

ガラガラ(ex)、カラカラ:コインにもよりますが2エネで160はまあまあ強くて、オコリザルと合わせて、”ピカチュウに勝てるアグロ”としてある程度の地位を築いていたと思います。特定のデッキに対して明確に勝ち筋がない、という状況になりづらいため、好んで使う人もいました。

サワムラー:めちゃくちゃとがった性能をしており、ゼブライカとほぼ同じ役割を種ポケモンが行えるという点で、ガラガラexデッキに採用する人もいました。

アーボック、アーボ:マタドガスやベトベトンと合わせて速攻デッキとして使っている人が一定数いました。悪タイプにはexポケモンがいないため、長期戦になったときに使えるわかりやすいフィニッシャーがほとんどいない(ベトベトンは少し使いずらさが目立った)ため、このようなデッキを組まざるを得なかったです。

ニドクイン、ニドリーナ、ニドラン♀:環境序盤では、わかりやすいテーマデッキかつ、デッキ作成コストが低いことから使っている人がある程度いましたが、環境が進むにつれて淘汰されました。というのもポケモンが2進化のみで不安定、なおかつ出たところで火力がそんなに出ないという致命的すぎる欠点が存在していたため、カードが集まるにつれて、使う人が減って行きました。

ニドキング、ニドリーノ、ニドラン♂:同上

マタドガス、ドガース:このカードは汎用性が本当に高く、キョウと一緒にいろんなデッキに出張していました。エネルギーを入れると、ミュウツーに対して有利をとっているため、ある程度の火力になり、エネルギーを入れなくても、毒をばらまいて地味に体力を削り、多くのアグロデッキの攻撃を1度は耐え、その後キョウで再利用して、自分のペースに持ち込める、という至れり尽くせりなカードでした。

カイリュー、ハクリュー、ミニリュウ:わかりやすいデッキで、なおかつexが0枚であるため、非常に難易度が低いデッキだったと思います。火力2進化で唯一といっていいほどリザードンとの差別化に成功していたと思います。たまにハクリューで攻撃したりするという細かいプレイもあったりして、個人的には好きなデッキでした。環境の中盤で安定感を得るために、ニャースを採用したような型もありましたが、徐々にマタドガス、またはガルーラへと変化していきました。ただやはり、安定感はなく、あまり環境デッキとはいいがたかったです。

ピジョット、ピジョン、ポッポ:2進化のシステムポケモンで、その特異性からか使っている人はある程度いましたが、多くの場合、ナツメ2枚で事足りるので、あまり強くなく、環境に顔をだすことはなかったです。

プクリン(ex)、プリン:プリンは進化前なので、主に遅延目的で、プクリンexは80火力を出しながらの眠り付与で、多くの大型ポケモンをワンチャンス倒すことができます。コインという運要素が絡むため、あまり環境では使われませんが、眠り続けてる時の絶望感は半端なかったです。

ペルシアン、ニャース:ニャースに関しては、2進化ポケモンのデッキの安定感を上げるために採用されることが多かったですが、ニャースは素のスタッツが低く、一番の天敵であるアグロに対してさらに打たれ弱くなっていることに気が付き、すぐに消えました。

ドードリオ、ドードー:環境序盤に手軽さからいくつかのデッキで採用されましたが、徐々に淘汰されていきました。

ガルーラ:コインが絡むものの火力をある程度出せ、素のスタッツがかなり高いため、壁役として採用されることが多々ありました。

かいの化石、こうらの化石、ひみつのコハク:手軽さ、そして、モンスターボールに引っかからないという特徴から採用される場合がいくつかありました。

カスミ:フリーザーとともに運にすべてを任せている何かです。表を出せる人が使うとめちゃくちゃ強いです。

キョウ:マタドガスと一緒に多くのデッキを渡り歩きました。この最強の遺伝子はアグロが強かったので、アグロに対する明確なアンサーとなるキョウマタドガスのコンボはとても便利でした。

サカキ:いろんなデッキに入っていました。痒い所に手が届くようになるカードで、多くのデッキに採用されていました。

ナツメ:最強カード。基本的にナツメをケアすることを考えられるようになるとかなり勝ちやすくなります。

マチス:ライチュウと組み合わせてお手軽に突然火力を出せるのが強かったです。

各種グッズ、博士の研究:だれでも手軽に手に入れられるようにしてくれた運営に感謝です。

総括

だらだら書いてきましたが、強かったデッキとしては、ミュウツーサーナイト、ピカチュウ、スターミーフリーザーの三つで、その中でもミュウツーサーナイトが一番勝率が安定していたと思われます。

こんなところまで読んでいただいた皆様本当にありがとうございました。またの機会に会えることを楽しみにしています。