Category Archives: Advent Calender

12/1から12/25まで、毎日会員が記事を書く企画です

『Bots Are Stupid』の紹介

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、25日目の記事です。

はじめに

TGA24のlinkiです。そう、また私です。
なぜか二日連続になっちゃった。昨日もピンチヒッターのつもりで入れましたが、なんと今日も同じです。
アドカレ23日目、たもさんの記事を見てプログラムパズルについて、中学にマイクラのプログラミングゲームをやったことを思い出しました。
それは今の私にとってもう最高につまらないけど、それに似ている面白いプログラミングゲームはあります。
以下は紹介になります。

ゲーム紹介

『Bots Are Stupid』は上に言ったプログラミングゲームと同じように、プログラムだけでキャラクターを移動させます。

大まかな指令リスト:
move 
wait
jump
hook
repeat

大体見た通りに、移動、待つ、跳ぶなどができます。特徴的なものはフックで、振り子みたいに揺れて移動できます。
ほかに、プログラミングなので分岐(if)と繰り返し(for)があります。forはrepeatで実装でき、ifはwaitに整合されています。

基本のクリア方法は散らかっている欠片を集めて、最後に赤いゲートに行けばいいです。

面白い?

ここまで見て、これで…どこが面白い?と思うかもしれません。確かに、こういうゲームを面白いと思う人間はそんなにいないでしょう。
だけど、このゲームの物理演算のおかげで面白くなりました(現実世界に忠実かどうかはほっといて)。
waitはuntil groundedやuntil fallingなど条件で使うのが簡単だけど、一定の時間を待つのは結構細かく調整できます、それとhookやレベル内の加速装置を合わせるといろいろ面白い(想像できない)動きができます。
この動画を見るとわかると思います。(黄色いのは加速装置)
うまく使うことで、hookは急に加速するのも止めるのもできる以外に、微妙に移動方向を変わるのもできます。それはちゃんと待つ時間を調整しないとできません。
ということで、試行錯誤や微調整で乗り越えるのも面白いです。

終わりに

気付いたら紹介記事ばっかになっちゃいました。来年はちゃんと多様性を増やします。
これでアドベントカレンダー2024は終わりです。
来年のアドカレもお楽しみに!
レポートと期末は頑張りましょう!

『文字遊戯』の話

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、24日目の記事です。

はじめに

TGA24のlinkiです。今日はクリスマスだ!
だけどクリスマス関連のゲームはあまり頭に思い浮かばないので、全然関係ないゲームの話をしたいと思います。
本日の主役は『文字遊戲』です。結構前から存在を知っていたけど、実際に買って遊んだのは今年の十一月です。

ゲーム紹介

文字通りに文字だけからなるアドベンチャーゲームです。アスキーアートっぽいですね。
プレーヤー(我)は削字之劍、押引手袋、離合之兜の三つの道具を使い、文字を消す、移動する、分離する、合体するなどの操作をします。パズル的に文字を変化させてゲームを進めます。
具体的に文字の操作をいうと、“不可能”から“不”を消すとか、“体”を“人”と“本”に分けるとか、“可”に“人”を加えて“何”にするなどができます。(あくまでも例)
この仕組みをうまく活用して設計するゲームです。実際にどう使うかは体験版をやればわかると思います。

感想(ネタバレなし)

ここからは中国語バージョンについての感想になります。
このゲームの発想はすごいと思いました。漢字でこんなことができるのは想像できなかったです。
体験版で遊んだ仕組み以外にも、ほかに文字を使う表現とパズルは素晴らしいですが、やや物足りない気持ちもあります。
発想はほんとに見たことないものだけど、この仕組みはまだ完全に活用されてないと思います。未来にこれを活用したパズルが出るのを期待しています。

日本語版

今は体験版(文字遊戯 第零章)だけリリースされています。完成版は2024年リリースで書いていますが、たぶん2025年以降になるでしょう。

日本語の体験版も遊んだけど、正直完成版はどうなるかは全然わかりません。むしろ心配しています。

普通のゲームはただちゃんと翻訳すれば大体なんとかなるけど、このゲームは言語が中心になっていて、違う言語になるとレベルを考えさないといけません。
特に一番重要な漢字は、中国語の繁体字と日本語の漢字の違いがあります。中国語バージョンに超えないかもしれないけど、リリースを待つしかないです。

 

終わりに

記事を見た人が大体遊べないゲームの話をして申し訳ございません。(TLP中国語選択としても繫体字という壁があります)
独特なゲームなので知って損はないと思います。
それでは、良いクリスマスを!

プログラムパズル_ハノイ 解説

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、23日目の記事です。

はじめに

こんにちは。TGA23のたもです。本アドベントカレンダーに寄稿するのはこれで3回目になりますが、前の2本は軽めの記事だったので今回はガッツリ書きたいですね。
とか考えていたら公開日の前日になってしまいました。せっかくガッツリとネタを考えていたのに今から書いていたら間に合いません。僥倖、書くのは楽だけど読むのは大変な記事を書けば満足してもらえるのではないかと閃いたのでそうします。

 

というわけで、プログラムパズル_ハノイというちょっとしたパズルゲームの解説をします。

ゲーム紹介

名前の通り(擬似的な)プログラムを書いてハノイの塔を解くパズルです。穴埋め形式なのでプログラミングの知識はほぼ必要ないですが、穴埋めであるがゆえに作者の意図を汲み取る必要があり、下手に一からプログラムを書くより難しいです。

 

ところで、このゲームのサイト(よかひよかとき)には他にもパズルがたくさんあり、どれも頭を一捻り二捻りする必要があって面白いです。自分は、このサイトがフィルタリングに引っかからないのをいいことに中学時代に教室のパソコンで遊び倒していました。授業中に紙とペンで解いて友人と競い合っていたのが懐かしいです。

 

閑話休題。そもそもハノイの塔を知らない人もいるでしょう。ゲーム画面を拝借して説明します。

このパズルでは、3本の杭a, b, cと、互いにサイズが異なるn枚の円盤を使います。円盤の中央には穴が空いていて、杭に通せるようになっています。

はじめ、全ての円盤は杭aに上から小さい順に積み重なっています。プレイヤーは1手につき円盤を1枚ずつ他の杭に移すことができますが、自身よりサイズの小さい円盤の上に重ねることはできません。最終的に、すべての円盤を杭bに移すことができればクリアです。非常にシンプルですね。


 

ここから先、ネタバレ注意です。進む前にぜひ自力で解いてみてください。


 

 

 

 

 

Stage 1

最初のステージはハノイの塔の練習みたいなもので、どの円盤をどこに移すかを順に指定していくだけなのでプログラムもクソもありません。

 

解答(クリックで展開)

 

Stage 2

次のステージも内容はほぼ同じで、円盤が1枚増えただけです。

 

解答(クリックで展開)

 

Stage 3

ここで一気に難易度が跳ね上がります。Stage 4、5はStage 3のマイナーチェンジで、Stage 6はガラリと傾向が変わりますがStage 3に比べると難易度は数段落ちます。つまり、Stage 3が実質的なラスボスです。とにかく問題を見てみましょう。

急に見た目がいかつくなりましたが、プログラム自体はさほど難しくないです。

この問題をいきなり解くのは難しいので、まずはハノイの塔自体の解き方を説明します。

ハノイの塔の解法

Stage1と2で勘の良い読者はお気づきになったかもしれませんが、円盤がn枚の時の最小手数は2n-1です。

 

略証:

n=1の時は明らか。

n=kのとき最小手数が2k-1であると仮定し、n=k+1について考える。円盤k+1を杭bに移すためには円盤1~kを全て杭cに移しておく必要があり、この操作に必要な最小手数は2k-1。その後円盤k+1を杭bに移すのに1手、円盤1~kを杭bに移すのに再度2k-1手かかるので、合計で2×(2k-1)+1=2k+1-1手で、これが最小。

あとは数学的帰納法を用いればよい。

 

さて、上の証明はハノイの塔の解き方を具体的に構成しているので、これをプログラムに落とし込めば良さそうです。

パズルの解法

まず、t手目にどの円盤を動かすかを考えましょう。

証明から分かる通りハノイの塔の解法は再帰的に構成できるので、円盤が1枚の場合から順に書き下していくと、円盤を動かす順序は

 

n=1 : 1

n=2 : 121

n=3 : 1213121

n=4 : 121312141213121

n=5 : 1213121412131215121312141213121

 

となります。これを見ると、円盤kを動かすのは

 

k=5 : 24手目

k=4 : 23手目、3×23手目

k=3 : 22手目、3×22手目、5×22手目、7×22手目

 

とわかります。一般化すると、円盤kを動かすのは t=2k-1×奇数 のとき、つまり t%2k=2k-1 のときです(%は剰余記号)。プログラムでは kk=2k-1と定義されているので、この条件は t%(2*kk) == kk と書けます。それっぽい形が出てきましたね。

 

さて、各tについてどの円盤を動かせばよいかは分かったので、あとはどの杭に動かせばよいかを考えればOKです。

まず、ハノイの塔を解く過程でそれぞれの円盤がどのように動くかを考えましょう。

 

k=n の場合、(a) → b のように動きます((a)はスタート地点)。

k=n-1の場合、円盤nをbに動かすために自身はcに逃げておく必要があるので、(a) → c → b のように動きます。

k=n-2 の場合も同様に考えると、 (a) → b → c → a → b のように動きます。

 

これを一般化すると、すべての円盤は

(a) → b → c → a → b → c → a … または (a) → c → b → a → c → b → a …

の動きをする(左右どちらのパターンかはkの偶奇で決まる)ことが分かります。

 

略証:

再帰性を考えると、円盤k+1のt回目の移動先と円盤kの2t回目の移動先は一致する。

よって、円盤k+1が (x) → y → z → x → …と動くとすると、

円盤kの動きは (x)  → ○ → y → ○ → z → ○ → x → … となる。

○ には左右と異なる文字が入る(でなければ移動の意味がない)ので、結局

円盤kの動きは (x)  → z → y → x → z → y → x → … となる。

あとはk=n-1を起点に帰納法を用いればよい。

 

円盤kを動かすのは t=2k-1×奇数 のときだったことを思い出すと、移動先は

 

t=2k-1×1, 2k-1×7, 2k-1×13, … のとき、杭b (杭c) 

t=2k-1×3, 2k-1×9, 2k-1×15, … のとき、杭c (杭b)

t=2k-1×5, 2k-1×11, 2k-1×17, … のとき、杭a

 

となります。これも剰余とkkを用いて言い換えると、

 

t%(2k×3)=1×2k-1 ⇔ t%(kk*6)==1*kk のとき、杭b (杭c) 

t%(2k×3)=3×2k-1 ⇔ t%(kk*6)==3*kk のとき、杭c (杭b)

t%(2k×3)=5×2k-1 ⇔ t%(kk*6)==5*kk のとき、杭a

 

となり、プログラムと同じ形が出てきました。完成したプログラムは次のとおりです。

 

解答(クリックで展開)

 

Stage 4

nが偶数になったバージョンです。

各円盤の最初の移動先(杭bか杭cか)が入れ替わるだけで、他は同じです。

 

解答(クリックで展開)

 

Stage 5

nが一般の正整数になったバージョンです。もう何をするかはお分かりでしょう。

Stage 5とStage 6に関しては正答者が名前を登録できるシステムがあるので、解答の掲載は控えておきます。

Stage 6

先に述べた通り、Stage 6はある意味独立した問題で、再帰関数を使います。

プログラムが急に簡潔になりましたが、そもそもハノイの塔が再帰的なものなので再帰関数と相性がいいわけです。こちらも解答は割愛しますが、ここまで読んでくださった方なら余裕でしょう。

終わりに

書くのが非常に大変でした。

steam上の無料の探し物ゲームたち

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、22日目の記事です。

はじめに

TGA24のlinkiです。先日、来年度の代表になりました。(パチパチ)
もう日曜になって、アドカレも残り三日しかないです。
この記事はsteam上の無料の探し物ゲームをまとめます。
探し物ゲームと言っても、私は可愛いものを探す以外興味がないので、大体は動物(九割はねこ)です。以下はリストになります。

 

リスト

100 hidden frogs

100 Korea Cats

100 New Year Cats

100 Waiting Cats

 

100 March Cats

 

100 Robo Cats

100 Capitalist Cats

100 Ninja Cats

100 Christmas Cats

Dino Cats

Robo Cats

Cats Hidden in Paris

Cats Hidden in Jingle Jam

HIDDEN CATS: The last of cats

Where Jellyfish

Where Dragon Spirits

終わりに

他のゲームもありますが、今知っているのは以上です。

 

「入れ子構造」に思いをはせて──『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、21日目の記事です。

はじめに

TGA23(現在学部2年)のばんちっちばんです。

気が付いたら今年度の編集長を務めていました。

 

そういうわけで12月の頭のほうは冬コミの記事を書いたりまとめたりで時間がなかなか取れなかったので個人的に待ちに待っていたアドベントカレンダー企画に全然顔を出せていなかったのですが、12月15日に冬コミ頒布用の会誌制作・印刷を終え、ようやく参戦、という運びになりました。

 

なぜ待ちに待っていたかというと、何を隠そう僕がこのサークルではじめて成果物を出したのが昨年のこのアドベントカレンダー企画だからです。

当時趣味で読んでいた本の内容がスプラトゥーンで起きることに応用できそうだなぁと思っていたところ「ゲームに関する単語が1語以上あればなんでもOK」というもはや破るほうが難しい制限しかなかったアドベントカレンダー企画がたまたま始まってくれて、テキトーに記事を書いてみたらあっさり自分の成果物ができてしまいました。

 

今年度は編集長として偉そうにコミケの記事を書けや出せやと会員のみなさんに言って回っていたのですが、先ほどの発言からわかる通り、僕自身昨年の夏・冬コミともに記事を寄稿していませんし、なんなら五月祭や駒場祭のシフトにも全く従事していませんでした。

ただオンラインでたまに行われるスプラトゥーンやスマブラのメンバー募集時に参加していただけで傍から見たら図々しい立ち回りをしている人間でした。

じゃあなんで編集長になったかって?

それは、会議には出席していたからですかね。そこはえらいんですね笑。

 

というわけで(?)これまであまりサークルに関わって来なかったという人も今更と言わずにぜひ書いてください(ようやく堂々と「書いてください」と言えました)

 

さて、大学に入ってからゲームの大半を『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』を占めていて、かつスマブラの話題で無限に記事が書けそうな気がしてやまない今日このごろ、今回の記事ではスマブラからいったん離れて『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』について話します。

僕はセール時にSteamで176円で買ってプレイしました。ニンテンドースイッチ版もあったはずです。

(そういえば、「桜井政博のゲーム作るには」の最終回でも一瞬このゲームの画面が映っていましたね。)

 

本題に入る前に注意点を一つ。この記事を読むにあたって必要な情報はゲームのスクショやテキストの引用を通じてなるべく補っています。

なのでプレイしていない方にもある程度は読める内容になっているはずですが、一方その代償としてネタバレを多分に含んでいます。

このゲームは価格もかなり安いですし、数十分あれば一周は遊べますから、未プレイの方は全然途中で読むのをやめてもかまいません(←もちろん他の方もOK!)ので、気になったらぜひプレイしてみてください。(ただし、ゲームにエンタメを求めている方は購入をお勧めしません。)

 

 

それでは、ちょっと変わった「入れ子構造」の世界へ!

ちょっとした紹介・感想

まずSteamのゲーム紹介文を翻訳アプリにかけて出てきた日本語訳をご覧ください。

 

日常の些細なことがどのようなチャレンジになり得るかを描いた短編集。少女が牛乳を買うのを手伝い、彼女をがっかりさせない最初の人になろう。

 

このゲームは小さなビジュアル・ノベルで、面白い抽象的な言葉遊びか、痛々しい心理的エピソードを見せる。歴史が実際の出来事に基づいていると主張するのは具体的すぎるだろうから、抽象的な言葉遊びの集合であるかのように装う方が簡単だ。
まず第一に、これは言葉と形式を使った芸術的な操作であり、それから初めてゲームなのだ。

 

特徴
短い時間(10~15分)
ユニークなグラフィックスタイル
本格的なオーディオソリューション

 

はい。こんな感じのゲームです。

と言っても言葉のみからイメージを構成するのは難しいでしょう。

一通りプレイした身からすると、なるほど、となりますが、現時点でたいしてわからなくても全然問題ないです。

 

紹介文にある通り、このゲームの目的は単純かつ明瞭で、少女が牛乳を買いに行って、おうちに帰るまでを手助けしてあげることです。

いとも簡単にこなせてしまいそうな試練ですが、あなたがプレイヤーだったら本当に彼女に最後まで寄り添えますか?

 

どんなゲームか想像を膨らませるために英語版(オリジナル)と日本語版のそれぞれのスタートの画面を見てみましょう。

下の画像です。

スクショ

(中学校程度の英語力と鋭い勘を持ち合わせる人はこの並置された二枚の画像に違和感を覚えるかもしれない。)

 

なんか、おかしいですね。

僕も最初そう思い、このゲームのプレイ後、その感想を抱いたことに非常に後ろめたさを感じました。

 

このゲームの主人公である少女はある時から赤色以外の色を認識できなくなり、ゲームの画面には終始その少女の視界が映し出されているとされています。

彼女の「変わった」知覚は視界の色に限らず、人が化け物に見えたり、お会計で二日間経ったように感じたり、はたまた入れ子になっている構造が好きだったり、と認識・時間感覚・趣味嗜好などもろもろの感覚において「普通」から逸脱しているのです。

スクショ

スクショ

これは彼女が患っている病気や処方している薬の副作用によるものだということがゲーム内で明かされますが、このゲームの中でそれが完治することはありません。

 

いわゆるハッピーエンド的なものは一切もたらされませんが、上で見たような「いつもと違った独特な雰囲気」がこのゲームを貫いているので、とあるゲーム紹介サイトでは「カルト的な人気を誇る」と題されているほど評判はよいものとなっております。

Steamの高評価レビューのほうには込み入った解釈・考察のほか

・わからないのが面白い
・なんか普通と違うから面白い
・「雰囲気ゲー」と俗に言われるやつ

というような感想が多く見られました。

 

一方でその独特な雰囲気・世界観がフィットしない人も当然いますから、低評価レビューも一定数存在しております。

理由としては

・短い
・無料でいい(無料で数時間もあそべる似た雰囲気のゲーム『ゆめにっき』と比較)
・「懐かしい感じのフリーホラゲ風」
・応答バリエーションが少ない
・「結構出つくされているアイディア」
・支離滅裂、わからない
・ギミック、物語的展開がない、驚きがない
・思考がまとまらない

などです。

 

僕はもちろん買ってよかったと思っています。記事の題材にしているくらいですからね。

ただ個人的に「わからないもの」を放置しておくという姿勢はあまり好きではないです。だからといって必ずしも「わからないもの」がわかるようになるとも限りません。

ですが、「わからないもの」に対して放置するのでもなく、またわかるようになるのでもない関わり方はあると思います。そろそろ本題に入りますが、以下の実践はそういう類の関わり方一つとして行うという意味も含んでいます。

 

「普通」を疑いましょうね、とか、「変わった」ことを体験するのは楽しいね、とかいう平易な教訓もしくはひねりのない感想を示して終わることもできますが、今回はちょっと踏み込んで考えてみますよ!

「入れ子構造」を見てみよう!

下の画像はゲームの中盤、少女がお店に入って牛乳を陳列棚から取るシーン。

「入れ子構造になってる文が好き」な彼女はこんなことを発言します。

スクショスクショスクショ

僕は最初、この彼女の発言の文構造を理解するのにかなり時間がかかりました。

どうでしょうか。構造、わかりますかね。理解力のある方には冗長に思われるかもしれませんが、解説いたします。

 

彼女は

牛乳

を取りました。

 

そこでさらに、彼女は取った牛乳がどんな牛乳であるかを補足説明してくれます。

その牛乳は

袋の中の  牛乳

であるとのことです。

 

彼女は優しいのでその袋がどんな袋であるかをさらに補足説明してくれます。

その袋は

牛乳が中に入った  袋

であるとのことです。

 

最後の補足説明を追加することで問題が起きます。一つ上だけを見ると一見わかりづらいかもしれませんが、一番上からここまでをくっつけてみましょう。

できあがった彼女の説明はこうなります。

 

「牛乳」が中に入った  袋  の中の「牛乳」

 

おわかりいただけましたか?

「牛乳」を説明するにあたって本来説明の対象であった「牛乳」自身を用いて説明してしまっているのです。

 

この点はわかってほしいので具体例を用いてさらに説明すると

例えば、リンゴ、という単語を説明するのに、

「リンゴとはリンゴでないもの以外のものである」

と言うのと似たようなことをしているのです(少女の間違いには袋がはさまっている分若干違うので余計にややこしくなってしまっていたらすみません)。

 

理解していただけましたか?

これ以上丁寧な説明はできないので先に進みます。

 

「入れ子構造」の形をとった少女のこの発言から少し奇妙なことが浮かび上がってきます。それはこのゲームの中心的なテーマの一つであろう、「入れ子構造」に関する重要な問題です。

 

入れ子構造の好例と言えば、「マトリョーシカ」でしょう。人形の中に人形が入っていて、その人形の中に人形が入っている玩具です。

5体人形が入っていれば5重の構造を持っていると言えます。

 

それでは少女の発言を見てください。

 

牛乳が中に入った袋の中の牛乳が中に入った袋の中の牛乳……

 

確かに、文章的には「入れ子構造」に見えます。しかしながら、実際は一つのゲシュタルト(ひとまとまり)の牛乳と一枚の袋を行ったり来たりしているだけでそれらの外部へは開かれていない閉じた構造を持っています。

つまり、言ってしまえばその構造はたった1重(?)でしかなく、一種の無限ループと化してしまっているわけです。

(「いや、牛乳や袋の粒子一つひとつが違う牛乳・違う袋と考えられるから~~」というのはやめてください。泣きます。)

 

彼女の生み出した構造は果たして「入れ子構造」なのでしょうか。いや、違います。

おそらく、最初に彼女の発言を理解するのに時間かかった理由はそこの違いにあると思います。というのも、実際に違う袋や牛乳が外にある状況を仮定すると、少なくとも僕はすんなり文意を理解できるからです。

というわけでひとまずこの記事では、彼女の言う「入れ子構造」をカギかっこを付して表記することでマトリョーシカ的な本来の意味の入れ子構造と区別します。

 

ここまで彼女の発言に表れていた「入れ子構造」について少々分析しました。

さあ次は、彼女の発言から間接的に導き出せる無限ループ的な「入れ子構造」を探っていきます。

 

浮かび上がってくるもう一つの「入れ子構造」

僕が見出したこのゲームのもう一つの「入れ子構造」を見る前に、その簡単な準備としていったん「視点」のお話をします。

決して難しくない話なのですがゲームをプレイしていないと状況がつかめないので、ささっと話しておく感じです。

 

下の画像を見てください。

スクショ

「地の文」がありますね。
画面の下の部分に出てくる地の文は一貫して主人公の内面の視点から語られています。
つまり、地の文には彼女が物事をどう見ているか、どう感じているかといった彼女の主観が反映されています。
以後、こういう状況を、〈少女〉もしくは〈彼女〉が語っている、と表現しましょう。

「うわ変な記号出てきた!難しい!」
と思わないでください。ただ視点を含意させるための記号ですので、〈〉で括られていたら後ろに“の視点”をつけて考えていただければさしあたって大丈夫でしょうし、そんなに厳密にならなくても問題ないかもしれません。

 

一方で〈プレイヤー〉のセリフの選択肢は、下の画像のように画面の中央部に出てきます。
スクショ

そして、物理的な世界に住む〈私〉は〈少女〉と〈プレイヤー〉との対立のうち、〈プレイヤー〉に同一化(感情移入)を果たし、その語りを通じて少女と交流するのです。

 

 

 

さて、先にしておかなければならない視点の話は済みました。

それではこれから本題のもう一つの「入れ子構造」を暴いてみましょう!

 

ゲームの終盤といったところでしょうか、少女が自分の病気のことや過去にあった出来事を話してくれてなんとか理解できそうだとなりつつあった最中、彼女は〈私〉にとって衝撃的な発言をします。

スクショ

!?!?

〈プレイヤー〉=「君」は少女自身が作ったものである、という趣旨の発言です。

 

僕はこの発言を聞いた瞬間に、再度プレイしなければならないことを悟りました。

これは、〈プレイヤー〉がそもそも彼女の想像上の人格(イマジナリーフレンド)であることを示しているのに加え、今まで画面の中央に表示されていた〈プレイヤー〉の発言の選択肢は彼女自身が考えたものであることをも意味します。

 

僕は〈プレイヤー〉の発言の選択肢をもちろん〈プレイヤー〉の独立した人格からの発言だと思っていましたから、これらすべてが少女自身が考えた選択肢だったとすると「その想定で一からやり直さねば」となったのでした。

 

(余談)

ちなみに冒頭のほうに2つの画像を並べたかと思いますが、

英語の字幕は“HELP ME BUY MILK”と書いてあります。助けてもらうのは彼女だからこの語り手は〈少女〉で確定です。

 

一方日本語の字幕「牛乳を買いに行こう」は

〈少女〉の語り(この場合「う」は「意志」の用法)とも

〈プレイヤー〉の語り(この場合「う」は「勧誘」の用法)とも

どちらにもとれる内容になっています。

素晴らしい訳ですね。

もしこの2つを上で並べた時点で「これは〈プレイヤー〉と〈少女〉の区別があいまいなのでは?」と勘づいた読者の方はいらっしゃいますか?感づいた方がいれば崇めたてまつります。

僕はこの記事に使う画像を集めている途中にようやく気付きました。

(余談終了)

 

彼女の衝撃発言の後でこのゲームへの接し方を180°変えるとちょっと違和感のある構図が浮かび上がってきます。ここからちょっと難しくなるので、だいぶ雑ですが自分のほうで図に還元してみました。

手描き図

一見これまで〈少女〉と〈プレイヤー〉がやりとりをしている二元的な構造のようでありましたが、〈プレイヤー〉からの矢印は実際のところ、〈少女〉から出たものであったということが明らかになりました。すなわち、〈少女〉の秩序が〈プレイヤー〉の秩序をのみこんでしまったわけです。これにて構造は一元的な性質(矢印が出てくる源が一つだけである状態;二元的は源が二つ、多元的は源が複数個ある状態)を帯びます。

 

本来、〈プレイヤー〉というのは〈少女〉から独立した人格であるはずでした。

その場合〈プレイヤー〉は独自の視点を持っており、〈少女〉からある程度影響を受けることはありますが、完全に規定されたり従属したりすることはありえません。

 

これは実生活の人間関係にも同じことが言えます。

他人は自分の思い通りに動いてくれることもありますが、当然ながら意のままにならないこともあります。というかその場合のほうが多いですよね。

それはなぜかというと他人は自分と「絶対的に違っている」からです。

自分が何をしようとどうあがこうとも、他人は自分を超越しており、決して自分からの規定の枠に収まることはありません(レヴィナスの他者論を思い出しましたが、これを書いている現在参照できるものがありませんので勢いのままに行きます)。

 

しかしどうでしょう、このゲームで生起していた関係性というのは。

今や、〈少女〉は〈プレイヤー〉をのみこみ〈プレイヤー〉全体を包含したため、〈プレイヤー〉はもはや〈彼女〉から超越した存在ではなく、「絶対的他者」の地位から退いてしまっています。

そしてここには先ほど「牛乳」と「袋」で確認された無限ループ的な「入れ子構造」が今度は〈少女〉と〈プレイヤー〉の間で成立してしまっているのです。

 

〈少女〉は今誰であるか、〈彼女〉はこのように言います。

スクショ

ノベルゲームのキャラクターである、と。

 

さて、それではどんなキャラクターなのでしょうか?

先ほど「牛乳」は、「牛乳」と密接に関わっていた「袋」をもって説明されました。今回も同様に最も密接に関わっているもので説明してみましょう。このゲームの物語世界では〈プレイヤー〉が最も身近ですね。

〈彼女〉は

〈プレイヤー〉がしているゲームの中のキャラクター

です。

 

ところで、〈プレイヤー〉って誰でしたっけ。

〈プレイヤー〉は

〈彼女〉の頭の中の人格

でした。

 

つなげると、

 

〈少女〉の頭の中の〈プレイヤー〉がしているゲームの中の〈少女〉の頭の中の〈プレイヤー〉がしているゲームの中の〈少女〉……

 

「入れ子構造」が発生しました。

 

〈少女〉と〈プレイヤー〉が二元的である限りこの構造は「牛乳」と「袋」の構造とほぼ同じで、無限ループさせたとしても「行ったり来たりしているね」で済みます。

 

しかし、今回は違います。

〈プレイヤー〉が〈少女〉の想像上のものであるという一元的な関係性によって悲劇的な様相を帯びるのです。〈彼女〉の自己規定は「絶対的に他なるもの」の存在によるものではなく、〈彼女〉自身のやり方でもってなされています。これが非常にまずいです。

『〈わたし〉は「〈わたし〉の生み出したもの」じゃない、』

と言っているのと同じなのです。

〈わたし〉を支えるものは〈わたし〉であり、その〈わたし〉を支えるものは、、、と無限ループに終止符を打つことはできなくなってしまっています(「行ったり行ったり」なのか「来たり来たり」なのかはわからないです笑)

 

つまり、いったん〈少女〉の自己像が崩れると〈少女〉はそこから自身のよりどころを失い、規定不能に陥ります。これでは自我を安定的に保つことはできず、より一層深い悲しみを誘う構造が間接的に導かれるのでした。

 

 

とまあ、ここらへんがテクストをもとに分析できる構造の限界だと思います。

分析したことをまとめると、

・少女の言う「入れ子構造」は実際には同一のもので行ったり来たりしているだけであること

・〈少女〉の自己規定は一元的で無限に続いてしまう規定であり、〈彼女〉の自己が安定しないということ

になります。

 

※なお、英語の原文だと日本語で「入れ子」と訳出されているところは“pyramidal”となっており、Webで使える英英辞書OEDで引いてみたところ「ピラミッド型の」「円錐型の」などと訳出するらしく、「入れ子」と訳せるような例文は一切のっていませんでした。

 

今回は日本語訳に従って入れ子構造について分析しましたが、原文に忠実に分析してみたらまた面白い結果が出てくるかもしれません。

気が向いたらやりますが、現状まったく思いつかないので誰かにやってほしいですね。

 

あと、翻訳者さんのnote記事があったらしいのですが、現在はなくなっていました。

もしこの部分に関する記述を記憶している人がいましたら教えてほしいです。

 

 

少女の変わった感覚を経験して

(ここから主観が多めになります。)

 

ところで、〈プレイヤー〉の発言として用意された選択肢は、早くお店に行ったら?などといった少女を助ける趣旨の発言か少女への協力を拒否する発言で、いずれの発言も彼女の理解しがたい発言とは打って変わって、はるかに容易に理解できるものとなっています。

 

〈プレイヤー〉は〈少女〉自身から生まれ出ていますから、とりもなおさず彼女は僕たちに理解できる文章を紡ぐことができるということが帰結します。

 

プレイ中、少女は「普通とは違った」感覚を持ち合わせているため、しばしば〈彼女〉と本当にコミュニケーションを取れているのか、彼女の発する「日本語」はそのまま日本語として捉えていいのか、彼女は終始「日本語もどき」を話しているのではないかと疑り深くなる時があります。

がしかし、彼女の想像上の人格が僕たちの感覚に合わせた発言をしてくれるという事実からその疑念はすぐに晴らされます。

そして、できる限り「普通の」感覚に合わせようとする誠意のこもった彼女の献身は本当に切なくあるのですが、この彼女の贈与的な行為によって僕たちは彼女と同じ地平を歩む可能性を見出すことができると僕は考えます。

 

 

僕たちは似た感覚を持つ人がいないと孤独になります。スクショ

ですが、残念なことに僕たちは他の人が世界をどのように見ているのかは決して知ることはできません。他の人たちが自分と似たような「世界」に生きていることを証明することは不可能なのです。

それでも僕たちは、きっと他の人も自分と同じように物事を体験しているであろうというかりそめの確信を前提に「空は青いね」と言ったり「楽しいね」と語りかけたりし、特にことばを通じて感覚・認識を共有しているような感覚を得ます。そして、「言語ゲーム」(ヴィトゲンシュタイン)が成立している限りにおいて僕たちは認識の類似性を疑うことをせず、結果的に「絶対的な他者」の絶えざる攻撃から身を守りつつ自我をも育むことになります。

 

 

その点において、彼女も僕たちと感覚を共有しています。他者なんていなくてもいいやとはなりません。

 

スクショいやむしろ、彼女は誰よりも他者が欠乏していたがためにイマジナリーフレンドが生み出されてしまったのかもしれません。

少女の〈プレイヤー〉のことばの提示で見せた歩み寄りは、健気でこころもとない「類似的他者」への欲望のあらわれであったと言えるのではないでしょうか。

 

おわりに

ここまでお読みいただきありがとうございます。

アドベントカレンダーだから短い記事を想定して、書き始めたらどんどん字数が膨れ上がってこんなに長い文章ができてしまいました。

また時間もどんどん過ぎていって気づいたら日付を回って数時間も経っていました。最後のほう文章が適当になってすみません。

誰か対策を教えてください。

 

早く寝たいので最後にこのゲームの続編といわれている、『Milk outside a bag of milk outside a bag of milk』をスーパー簡潔に紹介します。詳しくはリンク先を見に行ってください。

 

この間1周やりました。『inside』より時間がかかりました。

『inside』の場面のカラー版の映像がありました。

ゲームのアニメーション・演出が増えていました。

 

 

僕は買ってよかったです。

 

それでは。スクショ

 

今年のゲーム② 『文字化化』

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、20日目の記事です。

はじめに

今年も記事執筆数5本でトップを独走中の、TGA21のヤクガラスです。
とはいえ、昨年は人数不足に追い込まれた末の5本、今年は何となく去年の記録を維持したくて自ら狙っての5本です。
無理なく25日目まで埋められそうな現状を考えると、昨年から飛躍的に進歩していると言えるでしょう。

この感じが来年も続くと、流石に5本キープは難しそうですね。
素直に後の世代に道を譲るとします。

 

さて、本題に入る前に少し私事を失礼……。

当方、昨年・今年と併せて10本の記事を掲載させていただいています。
内容はメジャーなゲームのプレイ報告から変なゲームの紹介まで、毎回ばらけるようにしていますが、これは別に気遣いでもなんでもなく、ただ私が雑食なゲーマーだというだけです。
リアル人生ゲームのリソース管理がかなり難しいので、何でもやってみるというわけにはいきませんが、そこそこ幅広くプレイしている方ではあるかと思います。

 

そうは言っても、一応好みのジャンルもあれば、苦手ジャンルもあります。
得意ジャンルはパズルアクションとターン制RPG含むストラテジー一般です。要するに、プレイヤー視点でそこそこの動きがあって、思慮考察の余地があるゲーム、って感じですね。
一方で、苦手なのは恋愛シミュレーション等のストーリー進行主体のADVとリアル寄りのスポーツゲーム。理由は「楽しみ方が分からないから」です。ADVの場合はゲームをやっている感覚が薄いこと、スポーツゲームは実在の選手について全く知らないことが足を引っ張っています。

 

前置きが長くなりましたが、なぜこんな話をしたかと言いますと、ぶっちゃけこの先の内容の保険です。
というのも、今回紹介するゲームはジャンル的には「恋愛&探索型ADV」ってところです。つまり、後者寄りのゲームですね。
なので、馴染みのないジャンルなだけに「変なこと書くかもしれないけど、許してねー」という程度の意思表明です。
とはいえ、充実したストーリーとキャラクターの魅力の背後に、確固たるゲーム性が備わっていて、私みたいな雑食ゲーマーでも楽しめるゲームになっています。

 

ということで、本日は『文字化化』のお話です~

 

文字化化ってどんなゲーム?

『文字化化』は、ゲームクリエイターの八名木氏が作成したPCゲームです。
2023年6月に体験版が公開され、続いて今年11月に製品版がリリースされました。
先述の通り、私はあまりこのジャンルに明るくないので把握していませんでしたが、体験版以前のプロトタイプの公開時点から、国内外問わずかなり話題になっていたようですね。

 

ジャンルは言語解読×女子向け恋愛×脱出ホラーとかなり色々盛り込まれています。
異界に迷い込んだ主人公(女性、自称「美少女」)が、言葉の通じない異界のバケモノたちと交流して彼らの言葉を紐解きながら、バケモノと仲良くなったり、脱出を目指したりする、というのが大まかなストーリーです。

システム的には、メインになるのは「言語解読」の部分ですね。

異界の言語がメッセージウィンドウに単語区切りで表示されます。
各単語には意味が対応しているので、文脈や状況から単語の意味を推測し、埋めていきます。
言葉の意味が判明していくと、主人公の置かれた状況やストーリーの背景、各キャラクターの関係や個性が分かってくる、というゲーム性ですね。

 

 

 

類似したゲームとしては、2年前にリリースされた『7 Days to End with You』あたりが有名でしょうか。
一応そちらも以前プレイさせていただきましたが、短いストーリーながら大まかな判読に3~4時間、完全な言語解読に7時間ほどかかったと記憶しています。
あちらは文字とアルファベットの互換性があったので、英単語で処理するとそこそこ楽に解けました。

一方でこちらは、そもそも単語数が多い上に、英語変換のような抜け道もなさそうです。

 

探索要素については、調査できる場所がプレイヤー向けに明示されるため、かなり進めやすくなって言います。
クリック連打等の若干のアクション要素はありますが、ストーリー演出のスパイス程度の物なので、アクションで苦戦するようなことはないかと思います。

 

ちなみに、ADVでどの程度一般的なのかは知りませんが、ホラー脱出ゲームというだけに、死亡によるゲームオーバーがあります。
なんなら、序盤は言葉が分からないだけにそこそこの頻度で死にます。

ただ、死亡時は直前の選択肢から復帰できる良心設計なので、あまり気負わずにプレイできますね。
とはいえ、死亡シーンがきつくないわけではないので、なるべくなら死にたくはないですが……。

 

とりあえず、基本的なゲーム性と仕様はこんなところですね。

ここからは、実際のゲームプレイを交えたお話になります。
必要以上のネタバレは避ける所存ですが、初見の新鮮な感覚でのプレイにこだわりたい方はご注意ください。

 

実際のゲーム進行

とりあえず、5時間ほど遊んだところで現在執筆中です。
最初のエンディングを踏んだのが2時間ほどプレイしたところで、そこからは選択肢変更と巻き戻しを利用して、エンディング捜索と辞書作成に没頭しておりました。

 

システム面

感想ですが、システム面については「親切設計」の一言に尽きます。
過去に言語解読ゲームをプレイした印象として、初手の取っ掛かりの少なさとストーリーの分かりづらさがプレイのハードルになっているように思っていましたが、このゲームはその印象がかなり薄いです。

 

理由はいくつかありますが、第一にストーリー全体を通して主人公がかなり活躍してくれます。
独白の中でバケモノの意図を組んでヒントをくれたり、割と積極的に言葉を聞き出してくれるんですよね。
特に、否定語や疑問詞、所有格などの汎用語を教えてくれるのが凄く有難いです。

序盤でチュートリアル気味に言葉を説明してくれるフェーズがあったり、絵柄やキャラの動きが充実していたりで、バケモノたちもかなり手厚くサポートしてくれます。

第二に、不思議な話ですが、死亡イベントのおかげで言葉が分かりやすくなるんですよね。
「~しちゃダメ」とか、「~しないといけない」とか言われてそうな場面で、間違った選択をして死亡すると、明確に文章の意味と状況が対応付けられるので、結構なヒントになります。

第三に、このゲームではありがたいことに過去に経由した場面への任意ジャンプが可能です。
しかも、場面の区切りが結構な数あるので、割と気軽に過去の場面に戻れます。
この機能、単純なルート分岐の探索以上に意味があります。
なんせ、過去の場面で使われた単語が、全く別の場面で再登場することもあるわけですから。

ちなみに、先述の『7 Days to End with You』では実はジャンプ機能が実装されておらず、周回が中々面倒くさくなっていました。
代わりというわけではありませんが、あちらに備わっていた「特定の単語が使用された場面を抽出して再生する機能」がこちらにはないので、過去のどの場面で出現した単語か判別するのは少し難しいです。
意味が分からない言葉も、適当に文脈に合わせて埋めておくと、後で思い出しやすいですね。

 

実際の言語解読ですが、3時間ほどで8~9割がた完了しました。
ストーリーが長いことも手伝ってヒントが要所に出てくるので、一週目である程度候補を絞って、二週目で確定・確認するところまで無理なくいけます。
まぁ、答え合わせしたわけではないので、盛大に間違えている可能性もありますが……。

 

一応、苦手なプレイヤー&尻込みしているプレイヤー向けにアドバイスもしておきます。
ある程度は慣れの問題にもなるかとは思いますが、助詞を想定しない文法で文脈をとらえること、概念レベルで広くとらえること、気軽な話し言葉で考えることを意識しておけば、案外と楽に意味がはまります。
個人的には、日本語よりもカタコトの英語を想定したほうが解きやすい気がしますね。
後は、埋まらないところは気にせず進みましょう。先は長いので、その内もっと分かりやすいポイントに巡り合えます。
端から周回前提の設計なので、気にしない方が得です。

 

若干ハードルが高いのは、指示語みたいに特定概念を指さない抽象的な語句ですかね?「道具」とか「場所」レベルのふわっとした言葉は、下手に訳語を限定すると文が崩壊します。
一部は、日本語の語句で無理に表現しようとしない方が、後々楽になると思います。
なお、私の手持ちの辞書の中で一番変な訳は「(広義)生命体」です。
平易な日本語に変換するなら「何か」くらいになりますかね?

 

ストーリー進行

内容は、何となく分かるような、分からないような……。
とりあえず探すべきものは分かったので、この記事を書き終えたら探索に戻ります。

 

それはさておき、ストーリーの雰囲気はホラーをベースに、ラブコメのテイストが加わった感じです。

冒頭からビックリ演出で幕を開け、その後も即死トラップやドッキリイベントに怯えながらの探索となります。
どアップの演出や音声を交えて、かなりしっかり驚かせに来るので、苦手な人は要注意かと思います。

ホラー映画に登場しそうなバケモノたちに出会えば、飛んでくるのは謎の異界語ばかり。当然恐怖心が募るのですが、ストーリーと言語解明の進行につれて、主人公を取り巻くバケモノたちの本性が明るみになります。

 

一貫して主人公に付きまとってお手伝いをしてくれる男、事あるごとに現れて主人公を気遣うナース、怖がりで表情豊かな生首……。
素敵な面々との交流は、不気味な雰囲気とのコントラストも相まって、和やかでかわいらしいものとなっていきます。

そして、深まる交流に逆行するように、あるいは寧ろ順応するように悪化していく主人公の容態。
主人公は何故この不思議な空間にとらわれたのか、彼女が出会ったバケモノたちは一体何者なのか、彼女は無事脱出することができるのか。

好奇心をそそられる、素敵なシナリオ設計になっています。

 

おわりに

ADVゲームというと、古くから人気の探索型脱出ゲームや、昨今映像や作画の発展が目覚ましいノベルゲーム等々、様々あるかと思います。
それぞれに需要がある一方で、個人的には前者は単調にシステムに乗る感覚が拭えず、後者はプレイしている感覚が乏しいことから、苦手意識があります。
そんな中でも、このゲームをはじめ昨今のADVは魅力的なストーリーとゲーム性を両立させる作品が多く、良いとこづくめに思います。

 

「言語解読」という形式のパズルは、会話という日常体験と謎解きという非日常体験の中間のような感覚で、開始のハードルこそ高いものの、没入感があるものとなっています。
その点でも、このゲームはサポートが充実していて入りやすい作品だと言えます。

 

私のプレイもまだ先が長そうですが、ともあれ幅広いプレイヤーが楽しめるゲームじゃないかと思います。
強いて言うなら、お友達を引き連れて複数人でプレイしたほうが楽しいかもしれませんね。
私は深夜にサークルのDiscordサーバーで配信しながらプレイしていましたが、終止一人で寂しかったです……。

 

さてさて、本日はこんなところで~

パッケージ版ソフトの魅力紹介

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、19日目の記事です。

はじめに

こんにちは。TGA24のLet’s Go!です。
早速ですが、皆さんはゲームソフトを買うとき、パッケージ版とダウンロード版のどちらを買いますか?私は基本的にパッケージ版ソフトを買います。この記事ではパッケージ版ソフトをおすすめする理由を紹介していきたいと思います。なお、記事の内容は基本的にNintendo Switchを意識したものになっています。

魅力1 〜遊ばなくなったら売れる〜

まずは、パッケージ版ソフトの魅力としてよく挙げられる、遊ばなくなったら売れるというものです。一応挙げておきましたが、個人的にはあまり魅力的ではないと思っています。というのも、今まで遊ばなくなったソフトを売ったことがないからです。理由はいくつかありますが、一つは数年後に突然また遊びたいと思うからです。そして、最大の理由については魅力4で説明します。
ただ、3DSのようにダウンロード版ソフトが販売終了し、新品のパッケージ版ソフトも売り切れているという状況では、中古販売されているパッケージ版ソフトの存在はとてもありがたいものなので、遊ばなくなったら売れることの魅力といえるかもしれません。

魅力2 〜本体の容量消費が少ない〜

次の魅力として挙げられるのは、パッケージ版ソフトはゲーム機本体のストレージ容量の消費が少ないということです。ダウンロード版だと10GBの容量が必要なソフトでも、パッケージ版だと100MB以下で済むことが多いです。ダウンロード版ソフトの場合、十分に大きな容量のSDカードを用意しておかないと、新しいソフトで遊ぼうとするたびに、古いソフトを消去する必要が生じます。しかし、パッケージ版ソフトであれば、そのような問題が生じることはほとんどありません。
ゲームカードの出し入れが大変という意見もありますが、ソフトの消去とダウンロードをせずにいろいろなソフトで遊べるメリットはとても大きいのではないでしょうか。

魅力3 〜複数本体で遊びやすい〜

三番目の魅力は、複数のゲーム機本体で遊びやすいというものです。先ほど触れた通り、この記事はNintendo Switchを意識したものになっています。(Switch以外でも、例えば3DSではセーブデータの引っ越しが不要という魅力があります。)
Switchの2台目を購入しても、インターネットに繋いでいない状態では、ダウンロード版ソフトで遊べるのは、「いつもあそぶ本体」に登録された1台に限定されます。そのため、ダウンロード版ソフトを使っていると、毎回持ち歩く本体を「いつもあそぶ本体」に設定する必要が生じます。また、家で遊ぶ場合も2台同時にダウンロード版ソフトで遊ぶことは基本的にできません。「いつもあそぶ本体」をインターネットから切断するなどの方法で同時に2台まで遊ぶことは可能ですが、機内モードにするとコントローラーを無線で使えない、Wi-Fiを削除するとインターネットに繋ぎたいときには再度パスワードなどの入力が必要、といった手間がかかります。
では、パッケージ版ソフトを使う場合はどうでしょうか。ゲームカードをSwitchに入れてソフトを起動するだけ、とても簡単です。「いつもあそぶ本体」を気にすることなく、インターネットに繋がらない外出先で遊ぶことも、複数のユーザーを使い分けて遊ぶことも、2台の本体でローカル通信をすることもできます。つまりパッケージ版ソフトを使えば、普段はNintendo Switch Liteを持ち歩き、学園祭やオフ会などでモニターに繋いで遊ぶときは普通のNintendo Switchを使うことも簡単になります。『あつまれ どうぶつの森』で2つの島を作り、たくさんのプレイヤーで遊ぶことも簡単になります。『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』でスカーレットとバイオレットの両方を用意して一人で図鑑を埋めることも簡単になります。

魅力4 〜パッケージがある!〜

ここまでいくつか魅力を紹介してきましたが、最大の魅力はパッケージがあるということです。パッケージは一つだけでも存在感があるので、パッケージがたくさんあれば存在感はとても大きいものになります。たくさんのパッケージに圧倒される体験をできるのはパッケージ版ソフトならではの魅力といえます。また、パッケージを好きなように並べられるという魅力もあります。初めて遊んだ順や五十音順で本棚に収納して並べてみたり、Nintendo TOKYO/OSAKA/KYOTOや家電量販店などの店舗で並べられているように綺麗な配置で並べてみたり、想像力を働かせて独創的に並べてみたりと、パッケージを並べるだけでもとても楽しく過ごせます。
パッケージそのものが持つ魅力は他にもあります。それは、以前遊んだゲームのパッケージを見ると、そのゲームに関するいろいろなことが思い出されるということです。先ほどパッケージ版ソフトを売ったことがないという話をしましたが、その最大の理由はこれです。初めてそのゲームで遊んだときの興奮や、試行錯誤をしてクリアしたときの感動などが思い出されるのは、パッケージ版ソフト特有の大きな魅力といえるでしょう。

おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございました。もちろんダウンロード版ソフトにも魅力はあります。(私もセール時などにダウンロード版を買うこともあります。)ですが、パッケージ版にしかない魅力もたくさんあるので、今まで買ったことがないという方は、次にゲームを買うときはパッケージ版ソフトを買ってみるのはいかがでしょうか。

『BLUE PROTOCOL』 ─1ヶ月後のサービス終了を控えて─

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、18日目の記事です。

はじめに

 TGA会員のSkyf Luteと申します。

 この記事では、サービス終了目前となったゲーム『BLUE PROTOCOL』という作品について語らせていただきます。最後までお付き合い頂けますと幸いです。

※性質上、当記事には『BLUE PROTOCOL』についてのネタバレを一部含みます。

序文

 皆さんは『BLUE PROTOCOL』というゲームをご存知だろうか。

 このゲームは、株式会社バンダイナムコオンラインと株式会社バンダイナムコスタジオによる共同プロジェクトチーム「PROJECT SKY BLUE」の中核を成すコンテンツとして開発された、オンラインアクション RPG タイトルと位置づけられており、サービス開始早々に同時アクセス20万人、アカウント登録60万人などといった、国産のPC専用ゲームタイトル(現在はPS5版もリリースされている)としてかなりの記録を出した。

 当ゲームは2024年6月14日に正式サービスを開始したわけであるが、タイトルにもある通り、ちょうどこの記事の公開から1ヶ月後である、2025年1月18日をもってサービスを終了することが正式に発表されている、(このような表現をしたくはないが)言ってしまえば「死にかけ」のゲームである。

 一方で、このゲームは私にとってゲーマー人生の半分以上を占めると言っても過言ではないものであり、間違いなく私のゲーム体験において原点の一つとなっている作品である。この記事では、私の体験を振り返りつつ、『BLUE PROTOCOL』の魅力について語らせていただきたく思う。

『BLUE PROTOCOL』を実際に遊ぶことができるのはあと僅か1ヶ月しかないが、この記事に触れ、1人でも多くの方が本作を実際に体感してくれると非常に嬉しい。

『BLUE PROTOCOL』とは何か

 本作について一言で表すとしたら、「惑星レグナスと言う名の異世界」というのが私にとって最もしっくり来る表現だ。

 公式曰く、本作のゲームジャンルは「オンラインアクションRPG」であるが、世間一般にはMMORPGの一種であると紹介される場合が多い。実際、ゲーム性を捉えやすいのはこの表現であろう。

 大勢のプレイヤーが同一のサーバーにログインし、リアルタイムで同じ世界に滞在し、隣を歩き、共に戦ったりする。本作はまさにそういったゲームである。

 一方で、本作の最大の特徴はそのグラフィックにある。謳い文句である「劇場アニメに入り込んだような圧倒的グラフィック表現で紡がれる世界」という表現に誇張はない!(※個人の感想です)

 以下は実際にゲーム内で撮影されたスクリーンショットである、加工は一切していない。

 ↑ユーザーイベント「ムラサキ好きの集い」での集合写真

 ↑ダンジョン「清明浄域 祖霊の墓所」の景観

 ↑本作のエグゼクティブプロデューサー、下岡聡吉氏のキャラクターとの2S、下岡氏(左)、私(右)

 

 これらを見るだけでも、本作が近年多く見られるアニメ調タイトルの中でも、頭一つ抜けたグラフィック表現を持っていることが分かるのではないだろうか。

 更に本作は、アニメ調ゲームとして非常に珍しい、(MMORPGとしては当然だが)キャラクリできるゲームなのである。上のスクリーンショットでも、プレイヤー一人一人が個性あふれるキャラクターを使っていることが分かるだろう。

 これらのグラフィック表現の力もあり、本作でプレイヤーはまさしく「異世界」にいるかのような体験を味わうことが出来る。

『BLUE PROTOCOL』の歩み(と私の体験)

 本作の情報が初公開されたのは、2019年7月5日、クローズドアルファテスト(以下:CaT)の実施発表である。なんと、私は当時中学三年生だった。

 ゲーミングPCを手に入れたばかりだった私は、CaTの実施情報を友人から聞いて早速公開されたPVを見た。

 ログ・ホライズンという、MMORPGをテーマとした作品の大ファンである私には、もうこれがたまらなかった。見たこと無い綺麗なアニメ調グラフィックで動くキャラクター、緻密に作り込まれたフィールド、壮大な音楽。全てが魅力的だった。

 幸運にもテスターに当選し、実際に遊んでみると、衝撃的な体験だった。アニメの世界で、自分のキャラが動いて、他の人も一緒にいる。まさに「異世界」だった。

 続くテストプレイであるクローズドベータテスト(以下:CBT)は翌年の4月に、更にマッチング負荷テストがその年の11月に実施された。世間的には色々と不評があったようだが、(この手のゲームを遊んだことがなかった)私は特に不満を感じることもなく、ただ純粋に楽しく遊ばせてもらった。

 開拓局前ダンス(サーバー閉鎖前にゲーム内の街の広場で大勢が自然発生的にダンスをする現象)は、両テストで非常に印象に残っている。

 

 2021年の夏には主題歌がL’Arc~en~Cielの「ミライ」に決定したこともアナウンスされ、サービス開始が近いのではと思われたが、その後公式は1年以上沈黙。次なる動きがあったのは、2022年11月である。

 2024年早春のサービス開始と、最後となるテストプレイ、ネットワークテストの実施が発表されると、本作を待ちわびた多くのプレイヤーが歓喜した。しかし私にとっては問題が。

 この時私は高校三年生、受験生である。早春って受験終わってからだよね?と色々考えたりもした。加えて、後日発表されたテストプレイの日程があの大学入学共通テストと丸かぶりだったのである。何たることか。

 幸運なことに(本作にとっては不運でしかないが)不具合の発見によりテスト実施が延期されたことで、私は無事テストプレイに参加することができた。ちなみに大学は不合格、浪人生活の始まりだ。

 ネットワークテストは2023年3月末から行われた。このテストでは今日まで親しくさせていただいている方々と出会うことができ、非常に貴重な体験だった。ちなみに3日のテスト日程で私のプレイ時間は40時間超、大学合格してたら入学準備で絶対こんなにプレイできなかったので、まあそこは浪人も悪くない。

 テスト終了後、本作は2024年6月14日正午過ぎにサービスを開始した。多くのプレイヤーがサービス開始とともになだれ込み、サービスに障害をきたすなどの「お祭り」と共に、正式サービスは始まった。

 2023年9月には、東京ゲームショウに出展、レプリカのゲーム内武器を持って写真撮影ができるブースや、会場での生配信も行われた。

 ↑プロデューサー陣が家庭用ゲーム機版のリリースを発表する様子

 

 ゲームのリアルイベントには初めての参加だったが、同じゲームをプレイしている人たちに会って話してという体験は非常に楽しかった!

 下岡氏ともお話させていただく事ができ、貴重な時間を過ごすことができた。

 

 2024年にはユーザー数100万人や、サービス開始一周年といった節目を迎えつつ、不評だったゲームシステムの刷新なども行われていった。

 しかし8月28日、公式より2025年1月18日をもってのサービス終了が発表されたのだ。

『BLUE PROTOCOL』の魅力

 サービス終了が決まった本作ではあるが、本作は非常に魅力に富んでいる。少なくとも私はそう思っている。

 

魅力その① グラフィック表現

 本作の魅力の筆頭となるのは、間違いなくそのグラフィックであろう。刻々と移り変わる空、フィールドを流れる風、草木の揺れ。緻密に構成された背景はかなりリアルに寄った表現で作られていながら、アニメ調で描かれるキャラクターが浮いて見えることもない。

 自由度の高いキャラクタークリエイトができるにも関わらず、皆どこか同じ世界の住人としての雰囲気を保っている。

 実際にゲーム世界に降り立って、その魅力を感じてもらいたい。

 

魅力その② ストーリー・世界観

 ファンタジーベースでありながら、未来的な要素が混ざり合う本作独特の世界観は、グラフィック表現と相まって非常に味わい深い。ストーリーの登場人物たちも個性に富み、シナリオは複雑で奥深く、ムービーシーンはまさにアニメそのものである。

 

魅力その③ 交流

 チャット、エモートなどの機能を使い、他のプレイヤーと様々な交流を行うことが出来る。パーティーを組んで戦闘コンテンツにチャレンジしたり、プレイヤー主催のユーザーイベントに参加したり。アニメ調の個性あふれるキャラクターで交流するのは、本作でしか味わうことのできない体験だろう。

 

魅力その④ 自キャラ

 私は自キャラ(自分がゲーム内で使用しているキャラクターのこと)こそが、本作を魅力的にするものだと思っている。自身の分身が、画面の中の美しい世界で走り、戦い、踊って、喋って。自分の好きを詰め込んだキャラを誰でも作れる。

 

『BLUE PROTOCOL』への思い

 稚拙な記事を最後までお読み頂きありがとうございました。

 本作からは、数多くの希少な体験やかけがえのない出会いを頂きました。

 正直言って、サービス終了というのをいまだ受け入れられない自分がいます。なんでこんな魅力的なものが終わってしまうんだ、おかしいだろ、という気持ちでいっぱいです。

 荒削りな作品であることは否定できませんが、何にも勝るポテンシャルを持っている筈だ、そう思ってなりません。

 

 本日、『BLUE PROTOCOL』は最後のシナリオ追加アップデートが行われます。泣いても笑っても最後の1ヶ月。全力で楽しんでいくつもりです。

 

『BLUE PROTOCOL』をプレイしているあなた。どうか最後までよろしくお願いします。一緒に楽しみましょう!

 そして『BLUE PROTOCOL』をプレイしていないあなた。ぜひどうか、一度でも良いから本作を体験していただければと思います。きっと得るものがある筈です。

 

 ―貴公らの旅に、幸運があらんことを。

Pokemon TCG Pocket(ポケポケ)

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、17日目の記事です。

はじめに

 どうも皆さんこんにちは。Mです。皆さんはPokemon TCG Pocket(以下ポケポケ)を御存じでしょうか?ちょうどこの記事が投稿される日が新弾の発売日ということで、この記事ではポケポケの対戦、および第一弾「最強の遺伝子」のカードに対する私見を述べます。あくまで一個人の意見として受け止めていただけると幸いです。また、批判的な意見が数多く述べられていますが、筆者には誹謗中傷の意図がないと理解していただきたく存じます。

概要

 このゲームは大人気TCGポケモンカードのデジタル移植版のような立ち位置です。ただし、いくつか違う点があります。カードプール以外にも、デッキ枚数は20枚と60枚、エネルギーカードの有無、勝利条件がサイドとポイントなど数多くの相違点が存在しています。

 このゲームは毎ターン(先行1ターン目を除く)エネルギーゾーンから1つエネルギーを取り出して任意の自分のポケモンに付与ができます。そのエネルギーを使ってポケモンの技を使用することができ、相手のポケモンを倒し先に3ポイントとった方が勝利するというシステムになっています。

対戦の特徴(というより不満)

 このカードゲームの対戦はほかのデジタルカードゲームと比べても特異な点が多いです。このゲームは主にこれまでカードゲームをやってこなかったライトな層に向けて売り出しており、それがカードコレクションというコンセプトとかみ合って大流行したものだと思われます。しかし、それがゆえに普段カードゲームをやりこんでる人たちの中ではこのゲームの評価は賛否両論です。その理由をここで軽く触れられたらと思います。

 

 まず、一つ目の問題点としては、デッキの自由度が低いということです。これは単にカードプールが狭いことだけが問題なのではなく、TCG版ポケモンカードとのエネルギーのシステムの違いにも問題があります。例えば、使うエネルギーが2色以上のデッキを制作するときに、それぞれの色によって使いたいエネルギーの頻度が違うことが多いと思います。そのため、TCG版ポケモンカードではエネルギーカードの採用枚数を調整することで、デッキとしてうまく回るようにすることができます。それに対して、このゲームでは複数種類のエネルギーが出現するように選択をすると、エネルギーの出現は抽選で選ばれることになってしまうため、安定して戦うことが難しくなっています。そのため、混色デッキは避けられることが多く、その結果、デッキの多様性の否定というように受け取られることもあります。もちろん、エネルギーカードがないことで、初心者がとっつきやすくなっているとは思うので、このゲームのコンセプトとはマッチしているとは思うのですが、今回はあくまでもカードゲームを普段からめちゃくちゃやりこんでる人からの意見、という形なのでこちらを上げさせてもらいました。

 

 2つ目の問題点としては、圧倒的後攻有利です。現状、先行1ターン目はエネルギーをポケモンにつけることができないため、後攻が対戦相手よりも先に動きやすく、さらに、3ポイント先取というかなり早いゲーム展開も相まって、先手が後手をまくることが、かなり難しい状況になっているというのが現状です。ただ、個人的な意見としては、どのカードゲームにも先手後手の格差っていうものは存在していて、今後実装されるカード次第でそこはうまく調整できるのではないかと思っているので、そんなに問題視していないです(現状でもカスミを使ったら、運要素も絡みますが、先手が後手をまくる展開をすることは全然可能であることからもわかると思います)。

 

 3つ目の問題点としては、(個人的にはこれが一番だと思うのですが)練度の差で勝てるようになる試合が少な過ぎるということです。たいていの人は自分が上達すると喜びを感じると思うのですが、このゲームに関してはあまりプレイに関しての深堀ができず、それがゆえに成長を実感できないというのが現状です。そうなってしまうと勝っても負けても運のせい、つまり運ゲーであると感じられてしまい、あまり対戦を楽しく感じない、という人が多いのではないでしょうか。そのうえ、このゲームは、最初に述べた通り、デッキの多様性を否定しているため、「僕が考えた最強のデッキ」というものも構築が難しいです。そのため、ネットで調べたら出てくる大会で活躍したデッキをそのままのリストで使い、虚無を感じる人が大量発生し、否定的な意見がうまれる要因となっていると思います。そもそもこのゲームは逆転できる要素も少ないため、単調なゲーム展開が続くことも多いと思います。さらにランクシステムや勝率を表示するシステムもないため、イベントの時以外は対戦で得られる報酬もほとんどなく、それが一層虚無の要因となっていると思います。

終わりに

長々といろいろ書いてきましたが、先に述べた問題点というものは主にカードゲームをやりこんでいる人たちから出るものであり、普段カードゲームをあまりやらないライト層をポケモンという看板を立てることで、カードゲームをやらせるという戦略からすると、むしろ模範的な戦略とさえとらえられるもので、とても素晴らしいものだと思います。繰り返しますが、筆者には誹謗中傷の意は一切なく、むしろ、大衆に受け入れられ、流行するようなカードゲームのシステムを作っていただけたことについて感謝と尊敬の気持ちでいっぱいです。これからも、カードゲーム文化がさらに発展し、多くの人に愛され続けることを願ってやみません。そして、そういったゲームを通して、さまざまな人々が交流し、新たな発見や喜びを感じられることを期待しています。

おまけ

ここからは第一弾「最強の遺伝子」のそれぞれのカードに対する私見を述べます。あくまで一個人の意見として受け止めていただけると幸いです。

フシギバナ(ex)、フシギソウ、フシギダネ:2進化ポケモンということで安定性に欠けていましたが、一度フシギバナが場に出てしまうとエリカ(まれにバタフリーも一緒)で回復することで、なかなか体力を削ることができず、一撃で削りきることができるリザードン以外のデッキに対してはかなり強い圧をかけられていたと思います。

バタフリー、トランセル、キャタピー:まれにフシギバナデッキに採用されていた印象です。キャタピーの「仲間を呼ぶ」を使うことで一見フシギバナの着地に貢献できそうですが、自分の進化後を採用してしまうと不純物が増え、うまく回らない展開が多かったように思われます。そのため、キャタピーのみの採用も見られました。

モルフォン、コンパン:進化後にマタドガスと同じような動き(ただしキョウなし)ができます。どうしても緑単色でデッキを組みたいときにはぎりぎり採用圏内…?だとおもいます。

ウツボット、ウツドン、マダツボミ:ウツボットが唯一無二の性能ではあったのですが、2進化という事故の起こりやすさと、自身で火力が出ないということがネックで、採用されることはほとんどありませんでした。

ナッシー(ex)、タマタマ:1エネで平均60ダメージという高水準の数値を出しつつミュウツーexのサイコドライブの150ダメージを1度耐えることができるというかなり高水準のスタッツで、しばしば採用されていたイメージです。ただ、ほかに相性がいいカードが少なく、環境での活躍は難しかったです。

ドレディア、チュリネ:フシギバナexと一緒に採用されて、序盤の火力兼エネルギーブーストとして使われていました。ソロプレイ用のイベントの際には、フシギバナexとドレディアを組み合わせたデッキとして最上級の敵となったこともありました。しかし、前述の通り、そのデッキはいまいち安定性に欠けていたため、環境での活躍はあまり見られませんでした。

リザードン(ex)、リザード、ヒトカゲ:フシギバナと同じく、場に出たら勝ち切れる試合が多かったですが、2進化ポケモンであることから、安定性に難がありました。しかし、こちらはファイヤーexという組み合わせやすいカードがあり、環境初期に好んで使われていました。それどころか、ウィンディexというサブアタッカーを採用することで、安定感を得、環境である程度の活躍したデッキの一つであったと思います。

ファイヤー(ex):リザードンデッキの動力源でした。3エネ70ダメージは一見低く見えますが、れっかのまいでエネルギーを自軍にばらまけることも相まって、そこそこ使われていました。

ウィンディ(ex)、ガーディ:主にリザードンexと一緒のデッキに入って活躍していました。3エネ120ダメージはファイヤーexのおかげもあって、見た目以上に容易に火力を出すことができました。また、まれに後述するカツラデッキに採用されることがありました。

キュウコン、ロコン:カツラというサポートカードと合わせてカツラデッキとしてしばしば対戦したデッキタイプです。序盤から高火力で押し切ろうという戦術をとっていましたが、ピカチュウデッキでいい状況が多く、あまり採用されていませんでした。

ギャロップ、ポニータ、ブーバー:同上

マルヤクデ、ヤクデ:たまにリザードンの代わりに使っている人がいた気がします。火力は少し落ちる代わりに、1進化であることでより安定して戦えました。ファイヤーのれっかのまいで想像以上に使いやすかった印象です。

カメックス(ex)、カメール、ゼニガメ:ほかの2進化exと比べると一度場に出た時の絶望感は残念ながら負けてしまうと思います。そもそもこのポケモンは水属性で見ても2進化exで見ても環境最前線で戦っている奴らがいるせいでかすんでしまいました。

ゴルダック、コダック:コダックのサポート封じからの最低限の火力を出せるゴルダックという連携はなかなか強かったです。そのため、ラプラスexデッキに採用する人が一定数いました。しかし、カメックス同様、競合相手があまりにも悪いのであまり環境での活躍はありませんでした。

ドククラゲ、メノクラゲ:初期の環境では、その手軽さと安さから使われていることがまあまあありました。しかし、時間がたつにつれて、みんながひかりものを獲得し、採用も減っていきました。

スターミー(ex)、ヒトデマン:強い。その一言に尽きます。すべて強い。体力も130あるし、火力も90あるし、逃げエネ0だし。なんなんでしょうね、こいつ。まあただ、一つ弱点を上げるとするなれば、フリーザーexと一緒にデッキを組む、ってなったときにカスミの運要素で負け得ることぐらいですかねぇ?単体スペックはバケモノという言葉すら生ぬるいです。

フリーザー(ex):元祖運ゲー。使う人、使われる人はみんな思う。「勝っても負けてもカスミのせい」

ゲッコウガ、ゲコガシラ、ケロマツ:ラプラスexのデッキなどに採用されていた印象です。自由に20ダメージ与えることができる特異性から、火力が足りなくなりがちなラプラスexに多く採用されていました。

ラプラス(ex):無料で入手できたこともあって多くの人が使ってた印象です。よくフリーザーデッキの下位互換だといわれますが、ゲッコウガを駆使することで、フリーザーにはできない器用な戦いもたまにできます。

ライチュウ、ピカチュウ(ex):ピカチュウexはほんとに強かったです。アグロで攻めきれることが多く、そうでなくても、エネルギーの要求数が少ないため、前で毎ターン90出しながら裏でライチュウ、2体目のピカチュウex、サンダーexなどにエネルギーをつけることで、間髪入れずに火力を出し続けるということが可能でした。

レアコイル、コイル:ライチュウにマチスでエネルギーを供給するように採用されることがたまにありました。

マルマイン、ビリリダマ:逃げエネが0かつ火力もある程度出せるということで、ピカチュウexデッキに採用されることが多々ありました。

ゼブライカ、シママ:相手のベンチに逃げた瀕死のポケモンにとどめを刺せることがピカチュウとかみ合ってマルマインとどちらかが採用されるていました。

エレザード、エリキテル:まれに上の二つの採用候補を押しのけて純粋な火力枠として使用されました。

エレブー、バチンウニ:ピカチュウexデッキに火力枠としてピン刺しされることが多かったです。

サンダー(ex):ピカチュウデッキに採用されていました。火力をある程度出せて、なおかつ逃げエネが1であることから器用な立ち回りを可能にしていることが多かったです。

ゲンガー(ex)、ゴースト、ゴース:比較対象が最強格のミュウツーやリザードンであったため、カメックス同様採用されることがとても少なかったです。

スリーパー、スリープ:特性で眠りにすることができるため、たまに採用されては運ゲーを繰り広げていました。使いたいのは特性であるため、色で縛られない、ということは長所であったと思います。

ルージュラ:ミュウツーやリザードンに対するメタカードとして採用されることがまれにありました。ただ、実際は、2エネルギーつける先としてはミュウツーのほうが優秀であったため、実はそんなに活躍してなかったりします。

ミュウツー(ex):なぜかexが付いていないほうも併せて3枚採用されていました。強かったです。本当に強かったです。種でここまで火力が出せるのは唯一で、最強、という名を冠するにふさわしいと思います。勝つことが重要視されるようなイベントでは、ほとんどの人がミュウツーサーナイトおよびピカチュウそしてそれらのデッキに対するメタを使っていました。ほかにも、環境終期での大会で一番活躍したのはミュウツーデッキでした。

サーナイト、キルリア、ラルトス:最強の片割れ。2進化であることが玉に瑕ですが、そんなことを気にしなくてよいほど、場に出てしまった時の絶望感がすごい。3ターン目に出されようものなら、投了待ったなし、別にあとから出てきても十分強いという性能で、本当にやばかったです。

サンドパン、サンド:癖のないカードで、格闘タイプのデッキで組まれたアグロにはしばしば採用されていました。しかし、マンキーのプロモが出てからはその枠を奪われることが多かったです。

オコリザル、マンキー:サンドパンとは打って変わって癖の強いカードで採用には賛否があり、採用するかはその人次第、という感じでしたが、マンキーのプロモが出てからは、自傷することが可能になったため、安定して火力を出せるようになっり、サンドパンよりも優先して採用されることが多かったです。)

カイリキー(ex)、ゴーリキー、ワンリキー:脳筋です。シンプルイズベストみたいな性能でした。このカードの特徴としては、進化前からある程度の火力を出せるため、安定しやすいという感じです…が、正直あんま強くないです。2進化火力系のカードはリザードンとの比較が本当にネックで、あのデッキは出たらワンパンで、出るまでの足回りも強いという感じなので、高い評価を受けづらいです。

ゴローニャ、ゴローン、イシツブテ:個人的に好きだったカード。タケシで安定したエネ加速ができるだけでなく、体力が160あるため、先に殴ってきたミュウツーに1-2交換をしかけられたりして、なかなか楽しいカードでした。ただし、やっぱり不安定…。あんま強くなかったです。

ガラガラ(ex)、カラカラ:コインにもよりますが2エネで160はまあまあ強くて、オコリザルと合わせて、”ピカチュウに勝てるアグロ”としてある程度の地位を築いていたと思います。特定のデッキに対して明確に勝ち筋がない、という状況になりづらいため、好んで使う人もいました。

サワムラー:めちゃくちゃとがった性能をしており、ゼブライカとほぼ同じ役割を種ポケモンが行えるという点で、ガラガラexデッキに採用する人もいました。

アーボック、アーボ:マタドガスやベトベトンと合わせて速攻デッキとして使っている人が一定数いました。悪タイプにはexポケモンがいないため、長期戦になったときに使えるわかりやすいフィニッシャーがほとんどいない(ベトベトンは少し使いずらさが目立った)ため、このようなデッキを組まざるを得なかったです。

ニドクイン、ニドリーナ、ニドラン♀:環境序盤では、わかりやすいテーマデッキかつ、デッキ作成コストが低いことから使っている人がある程度いましたが、環境が進むにつれて淘汰されました。というのもポケモンが2進化のみで不安定、なおかつ出たところで火力がそんなに出ないという致命的すぎる欠点が存在していたため、カードが集まるにつれて、使う人が減って行きました。

ニドキング、ニドリーノ、ニドラン♂:同上

マタドガス、ドガース:このカードは汎用性が本当に高く、キョウと一緒にいろんなデッキに出張していました。エネルギーを入れると、ミュウツーに対して有利をとっているため、ある程度の火力になり、エネルギーを入れなくても、毒をばらまいて地味に体力を削り、多くのアグロデッキの攻撃を1度は耐え、その後キョウで再利用して、自分のペースに持ち込める、という至れり尽くせりなカードでした。

カイリュー、ハクリュー、ミニリュウ:わかりやすいデッキで、なおかつexが0枚であるため、非常に難易度が低いデッキだったと思います。火力2進化で唯一といっていいほどリザードンとの差別化に成功していたと思います。たまにハクリューで攻撃したりするという細かいプレイもあったりして、個人的には好きなデッキでした。環境の中盤で安定感を得るために、ニャースを採用したような型もありましたが、徐々にマタドガス、またはガルーラへと変化していきました。ただやはり、安定感はなく、あまり環境デッキとはいいがたかったです。

ピジョット、ピジョン、ポッポ:2進化のシステムポケモンで、その特異性からか使っている人はある程度いましたが、多くの場合、ナツメ2枚で事足りるので、あまり強くなく、環境に顔をだすことはなかったです。

プクリン(ex)、プリン:プリンは進化前なので、主に遅延目的で、プクリンexは80火力を出しながらの眠り付与で、多くの大型ポケモンをワンチャンス倒すことができます。コインという運要素が絡むため、あまり環境では使われませんが、眠り続けてる時の絶望感は半端なかったです。

ペルシアン、ニャース:ニャースに関しては、2進化ポケモンのデッキの安定感を上げるために採用されることが多かったですが、ニャースは素のスタッツが低く、一番の天敵であるアグロに対してさらに打たれ弱くなっていることに気が付き、すぐに消えました。

ドードリオ、ドードー:環境序盤に手軽さからいくつかのデッキで採用されましたが、徐々に淘汰されていきました。

ガルーラ:コインが絡むものの火力をある程度出せ、素のスタッツがかなり高いため、壁役として採用されることが多々ありました。

かいの化石、こうらの化石、ひみつのコハク:手軽さ、そして、モンスターボールに引っかからないという特徴から採用される場合がいくつかありました。

カスミ:フリーザーとともに運にすべてを任せている何かです。表を出せる人が使うとめちゃくちゃ強いです。

キョウ:マタドガスと一緒に多くのデッキを渡り歩きました。この最強の遺伝子はアグロが強かったので、アグロに対する明確なアンサーとなるキョウマタドガスのコンボはとても便利でした。

サカキ:いろんなデッキに入っていました。痒い所に手が届くようになるカードで、多くのデッキに採用されていました。

ナツメ:最強カード。基本的にナツメをケアすることを考えられるようになるとかなり勝ちやすくなります。

マチス:ライチュウと組み合わせてお手軽に突然火力を出せるのが強かったです。

各種グッズ、博士の研究:だれでも手軽に手に入れられるようにしてくれた運営に感謝です。

総括

だらだら書いてきましたが、強かったデッキとしては、ミュウツーサーナイト、ピカチュウ、スターミーフリーザーの三つで、その中でもミュウツーサーナイトが一番勝率が安定していたと思われます。

こんなところまで読んでいただいた皆様本当にありがとうございました。またの機会に会えることを楽しみにしています。

OBからもらったゲームの話

 

この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2024、16日目の記事です。

はじめに

10日ぶりの投稿となります、TGA21のヤクガラスです。
今年も残り2週間ちょっとになってまいりましたね。皆様、仕事納めの準備は進んでいますか?
私は大掃除をやろうと2週間前に思って、そのままの部屋で現在に至っています……。

 

個人の怠慢は一先ず横においておきまして、TGAでは2日前に、対面での会議にて早々に来年度の役職決めを行いました。
例年かなり難航する役職決めですが、今年は中々に順調で、1時間切りでのフィニッシュとなりました~
この頃はDisordのDMで個人に爆撃を仕掛けたり、会議中に前代表が名指しで指名したりが通例になっていたので、自主的に埋まり切ったのは感動的です。

 

さて、会議後の学際打ち上げ兼忘年会にて後輩組にはお話ししましたが、TGAはそれなりに長く続いているサークルなだけに、素敵なOBさんがたくさんいます。

どれくらい素敵かと言いますと、Steamのフレンドコードを共有しておくと、時折OBからゲームを奢ってもらえるくらいです。
ゲーム好きとしては、普段手を出さないゲームを無料で遊べるので、こんなにありがたいことは無いですね。

そんなこんなで、私も先日ゲームをおごっていただきました~
私の元に届いたゲームは『仁王 Complete Edition』。通常時だと6000円オーバーでそこそこ良いお値段のするゲームですが、丁度セール中だったこともあり、私含め会員3名に配布して頂きました。

 

ところで、このゲームを画面共有しながらプレイしていると、不思議とOBがこぞって見に来るんですよ。
さながら授業参観モードになるんですが、何でだと思います?
後輩思いの先輩方が、アドバイスをしに来てくれているんでしょうか?実際、ネタバレにならない範囲でいくらか有用なアドバイスは頂きましたので、半分くらいはあたりかと思います。
ただ、本命は阿鼻叫喚のゲームプレイの観戦でしょう。少なくとも、私ならそのつもりでこのゲームを人に渡します。

 

真意はともあれ、頂いたゲームはキッチリやってしっかり感想を添えるのが礼儀でしょう。今現在ストーリー進行中ですが、現時点まででのこのゲームに対する個人的な分析と感想を書いていきます。

ということで、本日は『仁王』の話です~

 

『仁王』ってどんなゲーム?

『仁王』は、2017年にコーエーテクモゲームスから発売されたアクションRPGです。世界観的には、戦国時代を舞台に西洋的な精霊思想や和風伝承をファンタジー要素を組み込んだ感じでしょうか?不思議な力を秘めた霊石「アムリタ」の存在を除けば、あまり難しいことは無く、感覚的に受け入れやすいシンプルな設定になっています。

キャラクターについては、ゲームの説明文にも記載がありますが、プレイヤーが操作する主人公「ウィリアム」は名前に沿った金髪碧眼のサムライです。実在の偉人が登場する戦国の世を渡り歩く西洋人の姿は、かなり不思議な感覚ですが、それだけに印象的です。他のキャラクターデザインも、総じてかなりきれいに作りこまれています。

 

以上がプレイ外の内容で、本題のゲームシステム的な面について。
本作は、ハクスラ要素を取り入れたソウルライクゲームとなっています。Steamのストアページの言葉を借りるなら、「戦国死にゲー」ですね。死亡上等のスタンスで、ひたすら攻略法を探り続けるゲーム性となっています。Steamのレビュー的には、全体的に見ると割と好評よりですが、眺めていると「理不尽」の3文字がちらほらと……。

ちなみに、当方『DARK SOULS』も『ELDEN RING』も未経験で、アクション系の死にゲーはこれが初となります。アクション系のマゾゲーという面では『LOST EGG 3:  The Final』、死に覚えゲーという面では『Lobomy Corporation』を通過しているので、精神的な耐性はあります。一方で、3Dアクションはモンハン程度しかやっていないため、PS面でかなり難があったりします。

 

さて、そんな私のプレイの経過はどうなったのか……。
ストーリーに直接触れることはありませんが、プレイの中身のお話をしていくので、ここからはネタバレ注意です。

 

 

プレイの経過

記事執筆現在、26時間ほどプレイして、東海地方にいます。ゲームの進行度がどんなもんかは分かりませんが、割とのんびりプレイしていた感じですかね?
アムリタやら装備やらの収集癖がある都合で、結構念入りに雑魚狩りをして進めております。まぁ、それ以前に慣れるまでに少し時間がかかったのもありますが。

プレイ開始時から初めの部分の経過を、記憶の限りでちょっと書いてみます。

冒頭~初ボス

第一印象は、「攻撃がすごく痛い探索ゲーム」って感じです。
回復手段がほとんどなく、防具も充実していない都合上、数度の被弾でそのまま追い込まれてしまいます。割と早期から近・遠距離の雑魚の組み合わせ配置があり、少し厄介でしたが、数が少なかったこと、敵がひるみやすかったこと、早期に手にした槍の射程が長かったことなどが手伝い、案外と苦戦はしませんでした。

ただ、建物を抜けて外の通路に入ったあたりから、敵の耐久力と攻撃力があからさまに上がり、ひるみを無視して攻撃されることも増えたので、かなり苦戦することに……。ただ、敵の攻撃が単調なので、攻撃を前方にすり抜ける形で回避してから、敵の背後に攻撃を叩きこむスタイルで、何とか雑魚を突破していきました。

最後に唐突なボス戦に突入し、初めは距離感が分からずにあえなく撃沈。
続く数回は、敵の攻撃範囲を確認しつつ隙の大きい突進を誘導してからコンボを入れて、間もなく前半戦を突破。
後半戦が見えてからは、攻撃範囲が広がり隙も減ったことで、一気に苦戦を強いられました。槍のリーチによるアドバンテージをひっくり返され、中々攻勢に移れない状況に焦りつつ、無理にコンボを入れて落命、突進後の隙に飛び込んだら振り返りの攻撃をもらって落命と、何度か試行錯誤を繰り返しました。
結局、突進を横移動だけで躱せることに気づいたことが決定打になり、何とか削り切ることができました。多少苦戦はしたものの、「まぁボス戦ならこんなもんか」と思う程度ですね。

 

そして、ここでようやくストーリーの内容が明らかになりました。「戦国死にゲー」なのに明らかに西洋風の環境に置かれていた疑問が解消されたと同時に、アイテムが諸々消えたことの若干のショックがありました。

 

チュートリアル・キャラメイク

 

いや、チュートリアルあるんかい!!

 

直前でボス戦通過してるだけに、もうゲームが始まった気でいました。
まさかこんなところでチュートリアルが入るとは……。

ちなみに後からOBに聞いた話ですが、どうもこのゲームは全体的にチュートリアルが遅れる不親切設計のようで、実際に振り返ってみると、このチュートリアルでも不明のままの要素がかなり多かった印象です。とはいえ、一度に全部紹介されても呑み込めないので、その点では助かったともいえます。

 

とはいえ、とりあえずチュートリアルを順当に進めていきます。
記憶している限り、型の紹介、遠距離武器の紹介、ツクモ武器の紹介、気力切れシステムの紹介、「残心」システムの紹介、とかでしたかね?
個人的には「残心」は重要そう、遠距離武器は便利だけどシンプルだから意識しないでも大丈夫、型は切り替えてる暇なさそうだからあんまり気にしない、といった感じでした。
ちなみに、私はプロコンをPCに繋いでプレイしているんですが、ボタン設定を色々弄った都合で、チュートリアルで表記されるボタンと実際のボタンがずれていたりします。この辺も、当時型切り替えを放棄した要因の一つですね。

 

武器は良く分かりませんでしたが、とりあえず使い勝手が良くて万能そうだった槍と、攻撃力が高くて扱いやすそうな大太刀を選択しました。今振り返ると、槍は大当たり、大太刀は微妙でしたね。
守護霊は提馬鷲を選択。回避の気力消費軽減と弱攻撃の威力増加に惹かれました。私のアクションゲームの基本スタイルがソロ特化の回避&カウンターメインなので、小回りが利きそうなのを選んだ感じですね。ちなみに、モンハンだと回避性能&刃鱗磨きの回避特化装備とか、太刀でカウンター特化の立ち回りを採用しているタイプです。

 

まぁ、キャラメイクとはいっても、ビルドの中心はこの先のレベル上げの方なので、あまり関係はなかったですね。

問題はここからです……。

 

九州編 「鬼の棲む島」序盤

 

雑魚が強い。この一言に尽きます。

 

いや、初のボス戦でそこそこ苦戦しましたけど、それは良いんですよ。
道中の雑魚も強かったですけど、それなりにスペースがあったし、動きが単調だったし、ちょっとずつ処理すればよかったんです。何なら無視して通過すればいいし、その先にはセーブポイントがあったんですよ。
攻撃も、言うても耐えられるレベルだったんです。

 

それが、本編に入ってみると急に難易度が上がりました。
なんせ、初期位置から次のセーブポイントに到達するまでに数時間かかりましたから。

きつかった理由ですが、ざっと並べてみました。

  • とにかく敵の密度が濃い。
  • 地形が狭く不安定。
  • 敵の動きが複雑になった。
  • 雑魚が復活する。

一つずつ処理していきますか。
まず敵の密度ですが、あからさまに上がっています。
3Dアクションが専門外とはいえ、多対一の危険性は把握していますし、立ち回りはある程度わきまえています。たくさん敵がいるところでは一体ずつおびき寄せて、少しずつ削るのが鉄則ですし、特に雑魚の攻撃が痛いこのゲームでは、被弾の増える多人数戦は愚策です。

 

なのに、敵がペア作って待機してるんですよ。何度か試してみた感じ、片方が反応したら無条件でもう片方がついてくる感じになってるところがたくさんあるんです。それがたくさん重なって、4体同時に追いかけてくるポイントもありました。
おまけに、2つ目の地形の悪さも相まって、広く空間を使って敵をばらけさせることもできません。

 

とはいえ、多人数戦が避けられない場面は他のゲームでもありました。
そんな時は方針を変えて、敵がまとまるように誘導して、範囲の広い攻撃で薙ぎ払うんです。
幸い、この時点の敵はアーマー付きの行動が少なく、攻撃速度なら勝てます。
ということで、槍を構えて敵の誘導し、攻撃範囲ギリギリで横薙ぎを繰り出したんですが……

 

端の敵にガードされて撃沈しました。

 

ということで、最終方針は「何とか敵を一まとめにした状態で、ガードされないように少し遠めから攻撃を振りつつ、ガードされたらこちらも即ガードで一端態勢を立て直しつつ、地道に削る」という形になりました。
どうしても戦闘時間が長くなりますが、結局これが一番安定しました。
ちなみに、敵にされると辛いだけに、ガードはプレイヤー視点でも有効です。というか、被弾後の硬直をキャンセルできるのがガードだけなので、使わざるを得ません。これに気づくまでに相当数死にました。

 

さて、集団戦は難しいとして、じゃあ一対一なら楽かと言われると、別にそんなこともありません。
3つ目の「敵の攻撃の複雑化」ですが、単純に敵の攻撃動作が見づらかったり、回避してきたりするんですよね。慣れないうちは事故レベルの被弾がどうしても発生してしまうんですが、数度の被弾で致命傷なだけに、その事故がかなりきついんです。

 

なので、少しずつ敵を削って先に進みたいところでしたが、それすら許してくれなかったのが4つ目の「雑魚の復活」ですね。
これ、知り合いに聞いたら「ソウルライクはそういうもん」と言われてとりあえず納得したんですが、初見だと中々面食らう仕様だと思います。少なくとも、私は驚愕しました。

 

という感じで、初手からかなりの足止めを食らいましたが、何度か突撃と撤退を繰り返して動きを最適化しつつ、回復アイテムの「仙薬」のドロップを狙って体制を整えました。

ついでに、この辺でスキルの存在に気づきました。
チュートリアルを見逃したのかと思いましたが、OB曰く「紹介されるけど、もっと先だね」と言われました。
武技の方は良く分からなかったので、一先ず中・下段の「流水」を取得。

前半の雑魚を軽症で突破できたタイミングで、満を持して奥へ突入。入手手段が限られている(と当初思っていた)仙薬も使いつつ、周辺の雑魚をあらかた処理して、明らかにヤバい敵がいそうな屋敷に乗り込みました。
初の妖鬼戦ですね。

 

初期位置に戻されるのが嫌だったので、とにかく安全確認を徹底しつつ、初めは敵の行動を確認。屋敷から外におびき出せることが確認できたので、とにかく広く空間を使ってヒット&アウェイで突破しました。
時間はかかりましたが、初見でクリアできたので儲けものです。

 

中盤

ということで、ようやく先へ進み、念願のセーブポイントに到達しました。

そこから気楽に進み始めたところで、妖鬼2体目出現。

 

お前ボスちゃうんかい

 

この時ばかりは、素で声が出ましたね。まさか、ボス感溢れる形で出現して、激闘の末討伐した敵が、数分後に雑魚として登場するとは思ってなかったので。

その後も、斧持ちの妖鬼に一刀両断されたり、何度か屋根が抜けるドッキリを食らって誰にも向かない罵倒を一人で発したり、何か炎がすり抜けられそうだと思ったらめちゃくちゃな速度で体力が削れて死にかけたりと、色々とありましたが、割と時間はかからずにボス戦手前まで行けました。
プレイに慣れてきたのもありますが、要所でチェックポイント代わりのショートカットが開通したのが大きいですね。何となく、このゲームの進め方が分かりはじめたポイントです。

 

とはいえ、依然としてかなり難しいポイントはありました。一番きつかったのは、なんだかんだでゾンビ的な雑魚妖怪ですね。今調べたんですが、「敷次郎」という妖怪らしいです。

体力が低く、攻撃するとすぐに怯んでくれるので、多分かなり弱い部類の敵なんですが、起立状態と四つん這い状態があります。
この四つん這いがかなりの曲者で、そもそも動きが凄く見づらい上に、こちらの攻撃の半分ぐらいが当たりません。というか、この先でも似たような事態が頻発するんですが、通常攻撃の中で低姿勢の敵に安定して命中させられる攻撃がかなり少ないです。武器ごとに型や攻撃を選べば最低限の攻撃はできますが、コンボの2段目しか当たらなかったり、逆に2段目以降が当たらなかったりで、どうしても隙を晒すことになるので、現在進行形で苦しんでいます。

 

さて、何はともあれ中盤は突破できました。

社傍のショートカットを開通して、ボス戦へと向かいます。

 

終盤:怨霊鬼戦

とりあえず、試しに何度か挑戦してみましたが……

 

部屋が狭すぎる。

 

メチャクチャ狭い空間で、どでかい敵が鉄球付きの鎖を振り回してくるんですよ。
どう避けろと言うんですか……。

一先ず、休憩がてら戦略と装備を見直しました。

OBからのアドバイスを受けて、防具の重量を60%程度まで軽量化。
防御力自体はあまり変わらず、機動力がそこそこ上がりました。

ついでにこの辺で、死亡時に仙薬が一定量まで自動補充されることを教えてもらいました。

ここまでずっと仙薬を温存していたので、かなりもったいないことをしていましたね。

 

さて、色々と体制は整えましたが、とはいえ中々つらい敵です。
被弾のダメージは5割前後で、弱めの攻撃なら2耐え、強めの攻撃を背中に受けると即死です。
攻撃パターンは、前方への鉄球振り下ろしが右腕、左腕、両腕の3通り、鉄球の振り回しが2通り、あとは気力切れからの復帰攻撃ですね。
一応、近づかなければ狭い空間でも十分にかわし切れることが判明しましたが、それでも接近しないとこちらも攻撃できません。遠距離武器での削りは大したダメージになりませんし、弾数には限りがあります。

 

初めに考えたのは、ひたすら後ろに回り込んで攻撃し続ける戦法。
密着からなら振り下ろしは搔い潜れるので、そこそこ有効でしたが、問題は振り回し。予備動作を見てからバックステップを刻んでも範囲外に逃げ切れず、無敵時間を利用した判定のすり抜けも安定しなかったので、断念しました。

 

結果、一番安定したのは正面である程度の距離感を保ちつつ、チマチマ刻む戦法でした。
離れすぎないように正面に立てば、鉄球の振り下ろしを誘えます。
左右の振り下ろしはぶん回しに派生することがあるので弱攻撃1回、両腕は横にそれてから弱攻撃を2回刻んで、後は離れて次の攻撃を待つ形で、じわじわと削っていきました。
途中で、振り下ろしを横移動だけで躱せること、回避よりもダッシュの方が前後移動がしやすいことに気づいてからは、前半戦のノーダメ突破が安定するようになりました。

 

問題は後半戦ですね。

前半戦と比較して素直な攻撃が増えたので、攻撃チャンス自体は増えました。
近接攻撃はほとんど距離感を間違えなければ当たらず、ジャンプ攻撃は判定が甘めな分見てから回避が間に合ったので、どれも後隙で小技を刻んで即離脱する立ち回りでいなせました。

 

安定しなかったのが鉄球投げで、ぎりぎりまでホーミングしてくる上にガード不可だったので、かなり苦戦しました。おまけにダメージも大きく、鉄球2発で落命です。
少し距離を離すと鉄球投げに移行し、鉄球を回避するために外に逃げると次も鉄球投げをして、という感じで、連続して投げてくるのも難しくなった理由の一つですね。

とはいえ、典型的な「ミスらなければ勝てる」タイプではあったので、ひたすら乱数待ちしました。
結果、最終的に敵の体力がミリの状態で被弾無視してごり押したところ、何とか届いてくれました。初挑戦から90分ほどでしょうかね?
なお、OB曰く「九十九武器で押し込むという手段もあったよ」とのことでした。思いっきり失念してましたね。

 

ということで、阿鼻叫喚の初ミッションでしたが、何とか突破に成功したわけでございます。

 

感想

現在もストーリープレイ中ですが、体感としては順当な「高難易度ゲーム」っていう感じです。

ボス戦はそこそこ難しいですが、攻撃パターンを一つずつ確認して最適解を探せば、何だかんだで勝てるように作られてます。
ボス戦のステージがそれぞれ個別で用意されていて、臨場感と重圧感が中々に心地いいゲームと言えるかと思います。
Steamの好評部分はこの辺ですかね?

 

では、不評部分はどこかと言えば、雑魚戦の方ですかね。
先にあげた「理不尽」と「高難易度」という2つの言葉の差を考えた時に、何となくこのゲームではボス戦は「高難易度」、雑魚戦は「理不尽」な面が多いように見受けられます。

 

少しややこしい話ですが、ゲームでいうところの「理不尽」は、個人的には「プレイヤーの意志ではどうにもならないもの、又は必要以上の努力を要するもの」になるかと思います。

分かりやすいところだと、格ゲーのCPUが見せる「超反応」みたいなものですかね?コンボが難しいとか、技コマンドが難しいとか、そういった面はプレイヤーの順当な努力と能力で克服できる要素なので「高難易度」ですが、CPUが「理論上可能な対応」によってプレイヤーを完封するのは、プレイヤー視点ではどうにもできません。
強いて言えば、こちらから突っ込まずにひたすら差しかえしを狙っていればいずれ勝てるかもしれませんが、差しかえせる技をCPUが振らなかったり、反応できるレベルじゃなかったりすると詰みです。
クリアの可能・不可能はともかくとして、その制御がプレイヤーの手中にない時点で、基本的にゲームは「理不尽」なものとなります。

 

このゲームの場合は、ボス戦は研究すればそこそこ戦えますし、何より相手は「ボス」なんです。相応の環境と演出が用意されていて、ストーリーが用意されていて、その攻略がその場限りとはいえ一つの目標になるので、「突破するための努力に見合う敵」になるんです。

 

対しての雑魚戦ですが、配置的に同時遭遇が免れない敵が多く攻撃力はボスと遜色ありません。距離を離すと遠距離攻撃に切り替える敵も多く、何故か敵の攻撃は敵をすり抜けるため、酷い場合では大型の敵の背後からありったけ飛び道具が飛んできてハチの巣にされます。
一度守勢に回ると、被弾直後はガード以外の行動が受け付けられず、ガードをしても敵がひるむわけではないので攻撃を連打され、下手にガードを解くとそのままリンチにあって落命です。
敵はこちらの攻撃にひるまなかったり、高精度な回避動作で延々と躱し続けたり、一度攻撃を受けると確定でガードを行ってコンボを防いだりします。最後のガード持ちの敵はかなり強力で、碌にダメージが通らないので、下手なボス以上に時間がかかります。人間の武器や攻撃動作はプレイヤー側と同じなので、射程には差がなく、回避動作についてはプレイヤーより高性能になっている敵もいます。
こちらは3被弾もすれば死亡、敵はこちらの攻撃次第ですが、弱い敵なら剣で5~10回殴れば討伐、硬い敵は20回では足りません。
これだけの条件で戦闘を行うわけですが、勝利した上でなお所詮は雑魚戦であり、その先もストーリーは続きますし、体力を回復するためにセーブポイントに戻ればまた復活して再戦です。

プレイヤーの視点ではどうにもできない不利条件を押し付けられ、たかが雑魚を突破するために必要以上に労力を費やす必要があるので、「理不尽」という評価はあながち間違いでもないかと思います。

 

とはいえ、全く不可能なレベルではありませんし、正直なところ装備を充実させて、どこかでレベリングを重ねれば、案外と楽になりそうな予感はしています。
雑魚戦が本当にどうにもならなくなったらそうするとして、現状はボス戦の楽しさが勝りますし、ショートカットをそこそこたくさん配置してくれていたり、ルートが分かれば敵を素通りできたりで、気にするほどではないかと思っています。

元より、メインの難易度が際立つほど周辺部分のストレス性が増してくるのは、高難易度ゲーの性ですからね。

 

個人的には、敵同士のフレンドリーファイアがあれば一気に立ち回りの幅が増えるので、そこがないのが少し残念ですね。
それに限らず、行動の幅という面では、全体的にゲームの仕様がシステムに殺されている気がします。
折角スキルシステムで技が増えたり、コンボでかっこいい技が出たりするのに、ヒット&アウェイが最適解になるシステム上、ほぼ使うことがありません。
現状、プレイしていて有用だと思ったのは刀の「燕返し」くらいですかね?
まぁ、これも気力消費が痛いんであんまり乱用はできませんが……。

 

ということで、現状での評価は「人を選ぶが、楽しみ方のツボが合えば楽しい良ゲー」くらいの感じです。
凝り性のゲーマー、分析と最適化に全神経を注げるゲーマーなら、それなりに楽しめる部類でしょう。

現状気がかりなのは、ボス戦の難易度が後半にかけて下がってきている気がする点ですね。ゲームへの慣れもありますが、それにしたってここ2、3体のボスはさっくり終わってしまっている感じがします。まぁ、苦しみたいわけではないんで構いませんが……。
逆に、雑魚戦は難易度が上がってきてます。というか、即死級の奇襲仕掛けるのは勘弁してください……。

 

おわりに

長々と書きましたが、なんやかんやで楽しく遊ばせてもらってます。

送っていただいたOBさんには感謝ですね。

 

ところで、先日の会議で気づいたことですが、私も若干古株側になってきてるんですよね。
割とのんびりゲームしていただけなので不思議な感覚です。

ということで、その内有望な後輩さんたちにSteamで爆撃を仕掛けようかと画策していたり……。
今年のウィンターセールが楽しみですね。

 

では、本日はこの辺で~