以前プレイしたゲームの話:『視覚と手の対称性に関する仮説』
この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2025、12日目の記事です。
はじめに
今年は現在3本目、3年連続の単独5本が現実的になりつつある、TGA21のヤクガラスです。
とはいえ、ぶっちゃけあんまり余力は無いんですよね……。
研究報告の準備をしつつ、Unreal Engineの使い方を勉強してゲームを作りつつ、資格の勉強も進めつつで、元から時間も体力もない所に、何を思ったか『仁王2』のyoutube配信企画まで立ててしまったものですから、本格的にリソースが足りない……。
唯一の救いは、意外とゲーム作りが面白くて順調なところですかね?
取り合えず、メインプロジェクトの前の慣らしで構成を考えたゲームは8日で最低限組みあがったので、配信予定等々を中止してそちらに注力しなければいけない展開までは回避できそうです。
その内、記事のネタに困ったらまた話題にあげるかもしれません。
何はともあれ、今回はタイトルの通り最近プレイしたゲームではなく、少し前にプレイしたゲームの話になります。
今年の1月に公開されたゲームでして、発売当初に楽しんだものですね。
余談ですが、私はアドベントカレンダーの記事についてはある程度コンセプトを持って書いておりまして、「少し変わったゲーム体験」をテーマにしております。
ゲームについての見方の紹介であったり、単純に変なゲームや目新しいゲームを紹介したり、といった感じですね。
今回紹介するゲームも、そういった面では「変わった楽しみ方のゲーム」ということでプレイ当初も記事にしようかと考えたんですが、そのころにはアドベントカレンダー2024が終わっていたんですよね……。
色々と忘れていたところで、最近たまたま部室で話題に挙げる機会があって、「そういえばこのゲームの記事書いてなかったな~」と思い出した次第です。
約1年越しにはなりましたが、紹介する機会がちゃんと回ってきて良かったです。
それはそれとして、時間的なリソースが不足気味なのは先ほど書いた通りです。
おまけに、前回の自分の記事を見返したら、画像が無いわ主観ベースで冗長だわでとんでもなく読みづらかったので(画像が無いのについてはそういうゲームってだけですが……)、初心に立ち返りまして、プレイの中身に踏み込みすぎない、それでいて「面白そう」な感じが伝わる記事を目指していこうかと思います。
ということで、本日は『視覚と手の対称性に関する仮説』のお話です~

『視覚と手の対称性に関する仮説』ってどんなゲーム?
中々に長いタイトルですね……。
略語らしい略語は見つかりませんでしたが、英語名を『Hypotheses on the Symmetry between Vision and Hands』というようなので、これを略して「HSVH」とかで良いですかね?
他になんか略語あったら、誰か教えてください。
ということで、HSVHは今年2025年の1月4日に、個人開発者のFinger Tip氏が公開したPCゲームです。
Steamのストアページ曰く、ジャンル的には「見下ろし視点のアクション、イライラ系アクション、脳トレ」とのこと。
ユーザーのタグは「3Dプラットフォーム、ラン&ジャンプ、リズム、教育、3D」ですね。
全部まとめると「教育的だけどイライラする、3Dプラットフォームリズムアクションゲーム」になりますね。
不可思議な文章が組みあがりましたが、個人的には割と納得しています。
とはいえ、文面としては中々に不親切になってしまったので、ちゃんと説明しましょうか。
このゲームでは、プレイヤーはプラットフォーム上に配置された「手」を操作して、ゴールを目指していきます。平たく言えば、自機が「カサカサ動き回る手」に変わっただけの単純な3Dプラットフォーマーです。
ただ、このゲームの肝になるポイントなんですけど、手って左右で2つあるんですよね。
ということで、このゲームでは両手で両手を操作していきます。

基本操作ですが、「WASD」で左手の水平方向の移動、「OKL;」で右手の水平方向の移動です。
さらに、このゲームには「ジャンプ」と「ダッシュ」もありまして、左手はそれぞれ「F」と「C」、右手は「J」と「M」が標準だったかと思います。
この操作を用いて、左右の手を操作しながら上手くステージを駆け抜け、両方の手をゴール地点へと到達させるゲームです。
「到達させる」とは書いたものの、厳密には「誘導する」という感じですね。
というのも、左右の手はどちらも「動き出したら止まらない」という仕様になっています。
同時に一直線に動く左右の手を制御しつつ、上手く曲がり角を通って穴を飛び越えて、ゴールまで誘導しきればクリア、どこかで失敗してどちらかの手が落下してしまうとゲームオーバーで再挑戦、という形になります。

ちなみに、これまで「左右の手」とか「両手」とか書きましたが、操作するのは「同一人物の両手」ではないです。
左手は少し大きめで腕時計をつけた男性の手、右手は色白でしなやかな女性の手ですね。
細かな話ですが、ちゃんとプレイに影響してきます。
サイズが違うせいか、左手の方が右手よりも足が速い(?)です。
要は、同じ位置でスタートして動きを揃えても、徐々にずれていくんですよね。


ゲームの特徴:「頭がバグる」ゲーム性
HSVHの特徴については、ストアページのレビューで真っ先に出てくる言葉の通り、「脳がバグる」という一言に尽きます。
当たり前なんですけど、右手と左手がそれぞれ独自に動き始めると、頭が混乱するんですよ。
どちらを見ればいいのか分からないし、中途半端に速度が違うから上手く整える必要があるし、その時に右手と左手のどちらを操作すればいいか判断しないといけないしで、とにかく頭の中がパンクする勢いで処理が混線します。
ゲーム側の設計もそこに追い打ちをかけるように、ステージを両手が離れて行ってしまうようになっていたり、右手と左手が交差して「左手が画面右側で移動する」という状況を生み出したりしていて、ストアページに書かれた「イライラ系アクション」を体現するように、タスクでプレイヤーを直接圧殺しにかかってきます。

プレイした人なら分かるかと思うんですけど、本当に頭の中の指示が右と左から同時に流れて正面衝突して頭がショートする感じの、訳が分からない「バグった」感覚になるんです。
失敗するたびに、何をどうすれば良いかも分からない謎の感覚に叫びたくなります。
ただ、止めようとは思わないんですよね。
プレイするごとに新しい脳回路が組みあがって、なんだか行けそうな感じになったかと思ったら、ステージが進んで登場した新しいギミックでまた脳の回路がグチャグチャになってショボい死に方を繰り返す、というループで、何度も何度も脳のバグを感じながらも、そのたびに新しい成功体験が得られる設計になっています。
難易度自体も、人間の脳にはかなり酷な仕打ちをしている一方で決して無理なものではなく、失敗時には速度が低下して動かしやすくなる仕様もついているため、絶妙に「クリアできてしまう」のが、HSVHの設計の上手い所かと思います。
おわりに
なるべく客観的な面白さを冷静に伝えられるようにと意気込んで書き始めた記事ですが、結局主観がメチャクチャ混じってしまいましたね……。
本当に、「脳がバグる」感覚って、表現しづらい不思議な感じなんですよ。
少しでも気になった方は、ぜひぜひプレイしてみてください。
プレイ時間は人に寄りますが恐らく30~60分程度、お値段なんと280円と非常にお手頃になっていますので、「手軽に変わったゲーム体験を味わいたい」とか、「友人とそろって目新しいゲームでバカ騒ぎしたい」という方には特におすすめです。
それでは、今日はこんなところで~




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