最近やったゲームの話①『Cling To Blindness』
この記事は、東京大学ゲーム研究会アドベントカレンダー2025、7日目の記事です。
はじめに
最近になってSwitch2をようやく入手したものの、時間も体力も足りず碌にプレイできていない、TGA21のヤクガラスです。
みんなが遊び飽きてしまう前に、エアライダーに参戦しておきたいんですがね……。
それはそれとして、記事を書くのは嫌いではないので、息抜きがてら書いていきます。
さて、前回の私の番は12/3(火)で、なんだかよく分からない話を延々としていましたね。
ちなみに、この記事実はラボで実験の合間の暇な時間に書いておりまして、普通に周りの席の子に割とオープンになってしまっております。
引かれてないといいですね……。
どうでもいい話はおいておいて、今回はちゃんと「面白いゲーム」の話をします。
Switch2が手に入らなかった期間、色々と買い溜めて積んでいるPCゲームがあるんですよ。
積みゲーの中には、少しボリュームがあるRPGやローグライクゲームも無くはないんですが、PCのお手頃ゲームとなると、やっぱりホラーゲームが多くなってくるんですよね。
そんなこんなで、夏はとうに過ぎ去って布団が分厚くなった冬の折、寒い夜に背筋が凍るような思いをしながらプレイに明け暮れております。
ということで、本日はそんなホラーゲームの中の一品、『Cling To Blindness』のお話です~
『Cling To Blindness』ってどんなゲーム?
(Steamストアページ紹介文)
あなたは、「画面のない、音だけのゲーム」をプレイしたことはありますか?それも、目隠しをして。
『Cling to Blindness』は、音だけでプレイする目隠し必須ホラーゲームです。
プレイ時間は1-1.5時間。ホラーが苦手な方でも遊べるくらいの怖さです。ジャンプスケアもありません。
守らなければいけない3つのルール
一。目隠しは絶対に取らない事。
二。あしおとさんに追いつかれない事。
三。お札を五枚全て回収する事。
『Cling To Blindness』は、丁度一か月前、今年の11月7日にsteamで公開された、探索型のホラーゲームです。
開発者は、『7 Days to End with you』や『Refind Self: 性格診断ゲーム』などのゲームで知られる、個人開発者のLizardry氏です。
ある時はゲームの中で言語解読をして、またある時は心理テストのようなものを導入してと、特殊なゲームシステムを毎度開発している同氏ですが、今回のゲームはなんと「目隠し必須のホラーゲーム」。
相変わらずの斬新なゲームシステムで、公開以前からかなり注目が集まっていましたね。
ルールはざっと書いてありますが、「音を頼りに謎の足音から逃げつつ、風鈴などの音を頼りに探索して進める」というゲームになります。
「3つのルール」が掲載されていますが、プレイ中に一通り分かるようになっているので、事前に覚えておく必要ありません。
説明文に書いてある以上の難しさは無く、マウス操作ができる環境であれば、プレイは可能です。
しいて言うなら、1 ~ 1.5時間ってのは少し難しいかもしれませんね。
ゲームへの慣れや適正にも寄りますが、早くて1.5時間、苦手だったり詰まったりすると2 ~ 2.5時間って感じの印象です。
ところで、「ホラーが苦手な方でも遊べる」って書いてありますが、皆さんホラー作品というと、どんなところが怖いですかね?
個人的には①ジャンプスケア、②ビジュアルやグラフィック、③ストーリーあたりで恐怖を感じるタイプなので、確かにこの作品ではホラー感は感じないんですよね。
ただ、ホラーが苦手な配信者の知り合いに「これやってみたら?」って言ったら、「見えないと余計怖いじゃん!!」と返されました……。
なお、画面無し&おどろかし無しでもプレイできない方向けに、迫り来る足音がかわいらしくなる「ペンギンさんモード」があるので、安心できますね。
実際のゲームプレイ
さて、ここからは実際に私がプレイした時の様子を元に、お話していきます。
楽しみを損なわないように、ゲームの内容についてはそこそこにしてゲームシステム中心の話にしますが、少なからずネタバレを含みますので、ご覧になる際はご注意ください~
目隠し装着
我が家にはアイマスクや目隠しの類は置いてなかったので、取り合えずスポーツタオルを頭に巻いて、その上からヘッドセットを装着する形でプレイしました。
傍から見たら不審者スタイルですね。
音量調節のついでに、配信用の「視覚補助」の設定もありました。
面白そうだったので、普段入り浸っている外部コミュニティのサーバーで配信を開始したんですが、これで後々助けられましたね。
本当に情報0でのプレイは、想定外の所で事故ったり進行しなくなるので……。
ちなみに、ゲーム起動してから即座に進行するというわけでもないので、その点はご安心ください。
というか、ちゃんと初めの方で画面や手元を見つつ、音量を調節する方がおすすめです。
それから、机の上は片付けておきましょう。
私はプレイ中に腕で物を倒したり、一度手を放してからマウスを探すのに苦労したりしました。
本編スタート!!
さて、プレイを開始し始めてからですが、すぐに異変が。
・・・・・・何も起こらない。
音が聞こえたと思ったので、ストーリーの開始を待ち構えていたんですが、何も起きません……。
と、そんなところで「これ、クリックしないと進まないんじゃない?」とオーディエンスからの導きが……。
クリックすると無事ストーリー音声が流れ始め、初手から目隠し解除という最悪の展開は回避できました。
ストーリーに関しては本当に触りの部分だけですが、自機でもある主人公の「サツキ」が、目隠し状態での「儀式」に挑戦する、という感じです。
プレイヤーと同じく、主人公もまた初手から目隠しなわけですね。
ちなみに、初手のストーリー中は私とオーディエンスは大興奮でしたね。
というのも、プレイし始めてから気づいたんですが、このゲーム声優さんがかなり豪華です。
気になる方は、ストアページをご確認ください~
儀式に挑戦
冒頭のストーリーパートが終了したところで、本番のスタートですね。
目隠しで何も見えない中、環境音や主人公の声を頼りに恐る恐る動き始めます。
ちなみに、このゲームの操作は本当に簡単で、マウスを左右に動かすと方向転換、左クリック長押しで直進、右クリック長押しで「集中して音を聴く」ことができます。
後者については後述。
ストアページで確認していた通り、風鈴の音を頼りに進んでいきます。
進んでいく毎に、次第に大きくなっていく風鈴の音。
今にも手が触れそうな距離、と思っていたそのころ……
「主人公歩くのめっちゃ遅いから、まだまだ先だよ」
自機の移動が遅めなのもそうですが、それ以上に音量設定を間違えるという痛恨のミスを犯しましたね。
プレイが半分超えたあたりでメニュー画面に逃げて音量を治しましたが、それまで距離感がバグった状態でプレイしていました……。
皆様は、プレイの際には音量調節はしっかりやりましょう。
そんな注意書きはともかく、プレイについての印象は「想像以上に内容が豊かだった」という感じですね。
まず、マップがかなりしっかり作られてます。
「視覚情報無し」という前提での逃げホラーということで、当初は単純な四角い部屋を想定していたんですが、プレイの開始地点は屋外。
どこかの村の入り口に放逐されて、目の見えない状態のまま彷徨うと、聞こえてくるのはカエルの鳴き声や川の流れる音、機械から流れる自動の案内音声。
様々な環境音に囲まれながら、足音は避けて、風鈴の音には近づいて、という形で進めていきます。
先ほど「集中して音を聴く」という話をしましたが、右クリックを押すことで、環境音を遮断して足音や風鈴の音だけを聴くこともできます。
一方で、「壁にぶつかっているときの耳鳴り」なども消えてしまって移動に難が出る面もあるので、上手く色んな音を利用する感じになりますね。
さて、「壁」の話が出てきましたが、ゲーム内空間の豊かさに付随して、マップは割と複雑に組み込まれています。
とは言っても、迷路のように交差する通路を探索する必要はなく、むしろ逆ですね。
普通に音を辿ると壁に阻まれるので、少し迂回して移動しなければいけない所があるんですよ。
ザックリとした感覚ですが、少し広めの空間がいくつかあって、少し細めの通路が、端の方から伸びている感じですかね?
この壁の影響で、単純に風鈴の音と足音に従っていてもクリアできず、ある程度環境音を拾いながら道を探らないといけません。
なお、配信画面の方では①主人公の位置、②目的地、③あしおとさんの位置のみが画面に表示されており、マップボーダーや壁は一切表示されません。
オーディエンス曰く、「配信見てる方がマップを掴みにくい」とのことです。
ちなみに、私はリミナルスペース系のゲームのマッピングがメチャクチャ苦手ですが、実はこの手のゲームは得意です。
ポイントは、「空間を記憶する」よりも「イベントを記憶する」感じですかね?
現実で目的地までのルートを考えるとき、地図を頭に入れてイメージする人と「何番目の通りを右折」とか「この店が見えたら左折」とかのポイントを覚える人に分かれるかと思いますが、私は画像記憶が致命的に苦手なので、断然後者です。
このゲームの場合は、先に挙げたように各所に「マップの目印」のような音が配置されていますし、足場毎に主人公の足音が変わるので、覚えるイベントには事欠きません。
壁の配置と対応付けて、「この音がこっち側から聞こえる道は順路、逆に聞こえたら戻ってる」という形で覚えていくと、正確な空間情報が分からずとも、実用的な範囲でのマッピングは簡単です。
とはいえ、「マップが分かれば簡単」というわけではありません。
このゲーム、ルールを見れば一目瞭然ですが、あしおとさんに追いつかれるとゲームオーバーです。
そしてこのあしおとさん、ストーリー進行に合わせて出現するんですが、出現ポイントがまぁまぁ意地悪です。
要は、「風鈴の音を聴いてそちらに向かったら、風鈴側から立ちふさがるように出現する」という感じですね。
結構しっかり追いつかれない限りは大丈夫なので、そこまでゲームオーバーになりやすいゲームではないですが、それでもただでさえ方向感覚を失って迷いやすい環境の中で、順路を辿っていたところで急にチェイスが始まって後退させられると、猶更現在地を見失いやすくなります。(そもそも見てはいませんが……。)
ゲーム空間の豊かさや、難易度的な面での「簡単には終わらない」面白さと併せて、ストーリーもちゃんと作られています。
合間で背景を匂わせるような発言が挟まったり、もっと本質的に「考えさせられる」ようなセリフがあったりと、インディースのホラーゲームでは想像できないほどちゃんと作られていました。
そんなこんなで、単純に「目が見えないホラーゲーム」というだけにとどまらず、様々な感覚を体験できる、短いながらもきれいなゲームでしたね。
そしてエンディングへ
ストーリー的にもプレイ的にも一波乱あり、何とか儀式を終了した先。
様々な謎を残したまま物語は衝撃的な結末を迎え、エンディングっぽい音楽が流れました。
オーディエンスに確認してもらって、エンドロールが流れていることが分かったところで目隠しを外して、久方ぶりにLEDライトを目に浴びました。
プレイ時間は1時間30分ほど。
途中で音量調節のため色々といじったり、ストーリーの合間でオーディエンスと盛り上がって遊んだりもしていましたが、ノーデスでもこの時間になったので、ヒトによっては2時間ほどかかるかと思います。
分岐やゲームオーバー時の演出なども一通り確認したところで、ゲーム終了です。
もう一段、何か分かるものがあるかと探してみましたが、結局ストーリーの背景については謎が残る感じでしたね。
その辺をプレイヤーに想像させてくるあたりも、このゲームの作者の上手い所かと思います。
総評
結論としては、「目隠しでプレイするホラーゲーム」という発想だけで完結せず、そこに合わせた作り込みやこだわりが感じられる、想像以上に濃密なゲームでした。
移動入力とセリフ進行が左クリックで被っていたり、セリフ進行に入ったことが目隠しでは分かりづらかったりと、細々とした不便さはあるものの、目隠し自体は非常に良いアクセントになっており、ストーリーの奥深さも相まって、プレイを通して飽きることは無い構成だったかと思います。
ちなみに、今更ながらゲームタイトルの話ですが、『Cling to Blindness』、直訳すると「盲目性に縋りつく」という感じでしょうか。
ストーリーをクリアしてから考えると、単純なゲーム性以上の意味が籠った、面白いタイトルですね。
ともあれ、斬新なシステムに甘えない確かなゲーム性を備えた作品ですので、ぜひ皆様も、遊んでみてください~
それでは、本日はこんなところで~